テスラ サイバートラックは「アリ」か「ナシ」か?…ゼロヨン10秒で防弾ボディに航続距離800km

テスラ:サイバートラック
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テスラが21日、電動ピックアップトラック『サイバートラック』のアンベールを行った。これまでにない斬新なデザインのピックアップトラック。賛否がはっきり分かれるパターンの車であることは間違いないが、公式のライブストリーミングでは、配信終了後、すぐに「ORDER」ボタンが表示された。国内でも速攻でポチった人もいるようだ。

日本国内メーカーや自動車ジャーナリストの間ではテスラやEVは、いまだにイロモノ扱いのようだ。その視点でいけば、今回のサイバートラックもまさに「やっちまった」感が大きい。率直に真横からのシルエットはお世辞にも洗練されたとはいえない。直線的すぎる外観は、マニアにとってはデザイン放棄としか見えないだろう。

アンベールの冒頭でイーロン・マスク氏は「いままでのピックアップトラックはどれも同じような形だ」と述べ、サイバートラックのコンセプトはまさに「これまでにない全く新しいピックアップトラック」ということだ。

「これまでにない」「斬新」というのは、むしろ「万人にはうけない。とくに既存ユーザーには」ということなので、この点では、デザイン・スペックともに成功しているといっていいだろう。

現状公開されている北米仕様のスペックを整理してみよう。

0-60マイル/h:2.9秒(0-100km/hで3秒ほど)
航続距離:500マイル以上(800km以上)
ドライブトレイン:シングルモーターFR、デュアルモーターAWD、トリプルモーターAWDの3種類を設定
荷台幅:6.5フィート(約1.9メートル)
荷室容量:100立方フィート(約2831リットル)
積載量:1万4000ポンド以上(約6350kg以上)
乗車定員:6名(1席は補助いすタイプ)
全長:231.7インチ(約5.9m)
全幅:79.8インチ(約2.0m)
全高:75.0インチ(約1.9m)
地上高(クリアランス):16インチ(約40cm)
アプローチアングル:35度
デパーチャーアングル:28度
価格:3万9900ドル~6万9900ドル

その他、アダプティブサスペンションは車高調整が可能で荷台を下げたりできる。ACアウトレット(100-220V)と、電動バイク用の充電ポートも持っている。アンベールの最後には、サイバートラックに荷台にぴったり収まる4輪電動バギーが登場した。詳細は不明だが、オプションで販売されるのではないだろうか。イメージ画像では、すでにけん引型のキャンピング用トレーラーキャビン、荷台にビルトインするバーベキューコンロのキットなどが確認できる。

オートパイロットも当然搭載される。コックピットはモデル3同様にタブレット型のディスプレイがコックピット中央にあるのみだ。

ボディは高硬度の冷間圧延ステンレスで塗装なし。マットブラックモデルの販売もあるとの情報もあるが、未確認だ。ステンレスの素材むき出しというと、往年のデロリアンを彷彿とさせるが、外観デザインについて、いくつかのメディアは、イーロン・マスク氏が所有するロータス・エスプリをイメージしたのではないかと報じている(マスク氏は部分的な影響があった、とツイート)。

なおこのボディは防弾仕様になっており、9mmフルメタルジャケットの弾丸の防弾能力があるという。ガラスも強化防弾仕様とのことだが、アンベールのデモでは、鉄球でひびが入ってしまった。一般紙はさっそくこのアクシデントを取り上げ、テスラの株価が下がったと報じている。しかし、防弾ガラスというのは、銃弾をはじく能力より、貫通させない性能で評価されるものだ。ガラスは割れたが、鉄球ははじき返されている。

また、イーロン・マスク氏は、翌日、「製品版はもっと改善する」というコメントともに、事前テストで割れずに鉄球をはじき返している動画をツイッターにアップしている。

アンベールでは、スレッジハンマーによるボディ強度のデモも行われた。こちらのデモは成功し、2度ほどハンマーのフルスイングでもサイバートラックのドアにへこみがつくことはなかった。

防弾性能が市販車に必要かどうかは微妙だが、南アフリカでは防弾仕様の乗用車が売られているし、近年治安が悪化しているヨーロッパ、ロンドンなどではむしろニーズがあるかもしれない。

気になるのは、ボディやガラスの強度は、対歩行者、乗員保護を考えると、頑丈であればいいというわけではない。エッジシェイプなボディやフェンダーと強靭な外板は、大型獣との衝突にはほしい性能かもしれないが、街中では対歩行者への攻撃性が増してしまう。また、割れないフロントガラス、サイドガラスは乗員保護の面でマイナスだ。エアバッグやその他の乗員保護装置が気になるところだ。

アンベールのデモ動画では、フォード『F150』との「綱引き」とポルシェ『911』との加速対決も紹介された。デモ動画なので、どちらもサイバートラックが勝利する。綱引きは、フォードトラックは、スキール音とともにいとも簡単に引きずられてしまった。瞬間的にピークトルクが出せるEVは、先に相手のタイヤをスリップさせられるので、当然といえば当然だ。これは、できれば「トップギア」あたりがウニモグと勝負してみてほしい。

最高速ではなく加速勝負もEVの得意分野だ。0-60マイル/h(0-96km/h)が3秒以下。0-1/4マイル(400m)加速で10秒というから、並みのスポーツカーでは勝つのは難しい。

サイバートラックについて、現時点での情報などをまとめてみた。メーカー、専門家、自動車ジャーナリストは、ガラス強度デモの詰めの甘さ、やりすぎで突き抜けてしまったデザイン、いろいろ「安心」できるポイントは多かったかもしれない。「ピックアップトラックは日本市場には関係ないし、テスラもEVもしょせんまだイロモノ」と。

しかし、よくもわるくも、あのデザインにGOをだせて市場投入を決断できる自動車メーカーはおそらくない。EVのピックアップトラックは、すでにRIVIANというメーカーが『R1T』というトラックを販売している。こちらは、フロントのアイコン以外はオーソドックスなピックアップトラックのデザインを踏襲している。テスラとしては、R1Tも超えるデザインが必要だったのだろう。それも中途半端に妥協するより、トラックや乗用車の既存デザインを否定するくらいのインパクトを優先させた。

ただし、ピックアップトラックの本質であるヘビーデューティーさと荷台(BED)だけは残す。それが防弾仕様でありハンマーでもへこまないボディ。デザインからは想像できない実用的な荷台となった。

おそらくテスラは、伝統的なピックアップトラックユーザーは見ていない。陳腐な表現で恐縮だが、ユーザーがサイバートラックを選択するとき、サイバートラックもまたユーザーを選択しているのだ。

テスラ(Tesla)は11月21日、同社初の電動ピックアップトラック、『サイバートラック』(Tesla Cybertruck)を、米…

《中尾真二》

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