自然災害大国日本における防災の切り札、アウトランダーPHEV を利用した停電対策とは?

アウトランダーPHEV
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自然災害大国日本、自宅の防災対策は万全だろうか。私は「趣味=防災」ということもあり、それはもう防災にまみれた生活をしている。通勤用のカバンはもちろん両手が自由になるリュック、仕事道具と防災グッズを詰め込んだ7キロの荷物を毎日背負って通勤している。LEDライトも正・副・予備をあわせて合計6つを持ち歩いている。

非常食の準備はどうだろうか。わが家では新型インフルエンザパンデミックへの備えとして、常時100キロのお米を備蓄しているが、米の備蓄を多くの方に実践してもらいたすぎて、「家庭でお米を常温保存できるセット」を販売するためだけのネットショップを経営するに到っている。という具合に防災ライフを満喫しているのであるが、今回ご紹介するのは三菱『アウトランダーPHEV』を用いた「究極の停電対策」だ。

なお、わが家の車は2016年1月に購入した日産『セレナ』である。むろんアウトランダーPHEVには惹かれに惹かれ、100時間(主観時間)程度パンフレットを眺めながら真剣に検討もした。が…わが家は…8人家族…であったので…そっとカタログを閉じたのであった…。

アウトランダーPHEVができること

では本題。まず前提次項として、アウトランダーPHEVで何ができるのか、防災上どんなメリットがあるのかを紹介する。なお、自動車としてのレビューはない(よいのであろうか…)。

■ガソリン満タン状態で、一般家庭10日分の電力をまかなえる発電能力
究極の停電対策としてアウトランダーPHEVが有効である理由、その最たる物がこの発電能力である。最大出力1500W、1日10kWhの利用で10日分、詳細は後述するが、これだけの電力量を他で確保することはなかなか大変だ。仮にこの電力を、家庭向けのカセットガス発電機「HONDAエネポ」で得ようとすると、カセットガスボンベの備蓄が240本ほど必要になる…(わが家でも常時100本の備蓄しかない、それでも相当であるが)。

■V2Hシステムと併用すれば「室内のコンセント」が常時使える貴重な手段
「V2H(Vehicle to home)機器」とアウトランダーPHEVを併用することで、室内のコンセントを使用した、ほぼ平時と変わらない生活を維持することができる。他の手段でこれを実現しようとすると、「ソーラーパネル+家庭用蓄電池」や「家庭用蓄電池(エネファーム)」が候補に挙がるが、前者は天候に左右されること、後者はガスと水道が生きていないと使えないことから、災害時用としてはやや不安を残す。

■なんと、人を5人乗せて時速100キロで走ることができる
家庭向けの発電機には様々なものがあるが、「人間5名とその1週間分の水・食料を積載し、時速100キロで移動できる発電機」は、恐らくアウトランダーPHEVだけである。これは冗談ではなくすごいことで、同じ性能の発電機と燃料を持って移動しようとしたら、重さ20キロの発電機と、カセットガスボンベ240本を背負って移動しなければならないわけで、つまり不可能だ。自走する発電機、というのはそれだけで利点なのである。

停電発生時に困ることと、アウトランダーPHEVによる解決方法


大規模な災害が発生するたびに、新しい「想定外」が発生する。2011年の東日本大震災では、首都圏を中心とした「計画停電」という想定外の事態が生じた。2018年の北海道胆振東部地震では、「全道停電」というこれまた想定外の事態が生じた。直接的な被災地以外でも、長期にわたり停電する可能性があることを我々は学んだのだ。

「電気」というインフラは現代社会において不可欠な要素だが、その設備の大部分が地上に露出しているため、大地震がくれば電線が切れ、台風がくれば強風による飛来物で電線が切れ、想定外の大雪が降れば着雪で電線が切れ(電線ばかりだが…)、とにかく、電気は自然災害にもろいという弱点を持っている。半面、設備が地上にあるので復旧も早く、数日~1週間ほど耐えることができれば回復する、というメリットもある。

経験者であれば身をもって体験している「停電」だが、未経験者にはなかなかその被害が想像しづらい現象でもある。停電をすると、具体的には何が困るのか。そしてアウトランダーPHEVでどのような代替ができるのか、考えてみよう。

■生命の維持
停電による影響を最も受けるのが、在宅用の医療機器を使用している家庭だろう。人工呼吸器などを使っている場合、停電は文字通り生命に関わる事態となるから、電力の確保は必須次項である。アウトランダーPHEVは「発電しながら移動できる」という利点を持っている。これはソーラーパネルや家庭用燃料電池などでは得られないメリットであり、大量の発電燃料を抱えながら体力に劣る方を快適に移動させられる、という点は唯一無二と言えるだろう。

停電発生時、電源を確保しながら、風雨を避けつつ、空調の効いた車内で、素早く安全な場所まで移動する、ということができるのは、自動車ならではの利点であり、このようなハンデを持つ家族を抱える家庭には、非常に心強い防災グッズである。

■冷暖房の利用
寒冷地における停電で問題になるのが暖房の問題だ。2018年9月の北海道胆振東部地震では「全道停電」という前代未聞の状況が発生したが、これがもし冬季であったとしたら、暖房の停止による凍死者すら生じていた可能性がある。さすがに冬場の気温がマイナス10度、20度になる地域の場合は、電気を使わない石油ストーブなどの備蓄が不可欠であるが、そうでない地域の場合、アウトランダーPHEVの電力を用いた暖房は非常に役立つ。

また2018年の夏は、記録的な猛暑による熱中症被害が注目されたが、実は毎年500~1000名近い方が熱中症で死亡している(厚生労働省:熱中症による死亡数_人口動態統計[確定数]より)。例えば8畳用の家庭用のエアコン、平均消費電力は冷暖房ともに500W程度であるから、アウトランダーPHEVであればアイドリングをしつつ200時間程度稼働させることが可能だ。これだけの時間が確保できれば、非常時の熱中症・凍えへの対策としては十分と言えるだろう。

■情報機器への充電
緊急地震速報の受信、インターネットや防災アプリによる災害情報の入手、LINEによる家族の安否確認など、平時だけではなく災害時にも欠かせないアイテムであるスマートフォン。テレビやラジオなどを用いた情報収集など、災害時の情報収集にも電気は欠かせない。スマートフォンを充電するだけであれば、乾電池式の充電器と予備の電池で対応することもできるが、長期間の停電に備えるためにはそれなりの備蓄量が必要になる。

私が使っているスマートフォンは、むろん災害に強いタフネススマホ、「京セラTORQUE G03」だが、これのバッテリーをフル充電するためには11.2Whの電力が必要になる。アウトランダーPHEVのバッテリー容量は13.8kwh、単位をそろえれば13,800whと11.2wh、しかもアウトランダーPHEVはこれを10回満タンにできるガソリンタンクを持っているから、単純計算、スマホ12,000台を満充電にできる能力を持っているのだ。実質無限の安心感が得られるのである。

■冷蔵庫の維持と食事の準備
停電時に問題になる冷蔵庫の維持だが、アウトランダーPHEVがあれば解決する。例えばわが家には子どもが3人いるが全員が男子と、食費と冷蔵庫に対する負荷が尋常でない。そのため冷蔵庫も600リットルオーバーの大型サイズを酷使している。このクラスの冷蔵庫の消費電力は100W程度であるため、アウトランダーPHEVであれば満充電・アイドリングなしで100時間ほどの動作が可能だ。冷蔵庫に関する不安はもうない。

非常時の調理には、カセットガスコンロを使うのが最も手軽だが、アウトランダーPHEVがあれば、炊飯器・電子レンジ・ホットプレートなどの調理家電も利用可能だ。自動車単体ではそれぞれを同時に使うことは難しいが(単体ならOK、平時のアウトドアでも活躍する)、前述の「V2H」機器を併用すれば、前述の冷蔵庫・エアコン・テレビ、さらに照明もつけたまま、これら調理家電を使うことも可能となる(非常時の概念が崩れる…)。

また実際に使うかどうかはともかく、例えば三菱の「V2H」機器の出力は6kWあるため、IHクッキングヒーターの大出力にも耐えられる。“停電”しているにも関わらず、オール電化住宅であってもほぼ平時の生活を維持することができる、というのは(よい意味で)もう訳が分からない。さらに給油さえできれば、どれほどの長期停電でも問題がないという点もメリットといえるだろう。

■実際の所どのくらい使えるのか
概算だが、ガソリン満タン状態であれば、以下の家電を使用する生活を10日間維持してまだ余裕がある計算となる。家電サイズは5人家族仕様(大きなサイズ)、比較的新しいモデルのものを参考にしている。エアコンの割合が大きいため、冷暖房不要な季節であればさらに余裕が出るだろう。
主な家電の消費電力量主な家電の消費電力量

本当にこんなにたくさん使えるのか、と不安になる消費電力量であるが、2トンを超える重量の物体を、時速100キロ以上に加速して、かつ60キロの距離を走行できるバッテリーというのは、相当な容量と出力があるということだ。これと比べればテレビやエアコンなど可愛い物にすぎないのだろう。

他の代替手段とアウトランダーPHEVの比較


電気を溜めることは難しいが、むろん停電対策ができるのはアウトランダーPHEVだけではない。停電対策に用いられる他の代替手段と比較してみよう。

■乾電池との比較
電気を「備蓄」する方法として、手軽かつコストもかからない方法が、「乾電池」の備蓄だ。普段から消費できて安価であることがメリットだが、当然ながら電池を使用できない機器に対しては無力であるため、使いどころを選ぶ選択肢ではある。とはいえ、乾電池備蓄は必須であるため、例えば向こう5~10年間で消費する予定の電池(リモコンや時計など)を先に買っておき、使った分だけ補充する「日常備蓄」をおすすめする。

<メリット>
・アウトランダーPHEVと比較すれば安い(それはそうだ)
・さらに日常備蓄をすれば実質ゼロ円(そのうち使うものを先に買うだけ)
・10年程度の保存ができる(非常持ち出し袋に入れておくとよい)
<デメリット>
・一般家電には使えない

■発電機(ガソリン・ガス)との比較
数百万円の投資をせずに安定的な電力を得ようとしたら、ポータブル発電機が選択肢となる。アウトランダーPHEVと比較すれば性能に劣るのはやむを得ないが(価格も数十分の一であるし)、災害時用の電源としては十分な性能を持つ。問題は平時利用がなかなか難しいためメンテナンスの手間がかかることと、燃料の備蓄が問題になることである。

<メリット>
・アウトランダーPHEVと比較すれば安い(10万~20万程度)
・アウトランダーPHEVと比較すれば小さい(20キロ程度)
<デメリット>
・燃料備蓄に手間とコストがかかる
・家庭が無届けで備蓄できるガソリンは40リットルまでだが、室内保管は精神衛生上よくないため、安全な保管場所が必要となる
・カセットガスボンベは7年程度の長期保存が可能だが、1時間で2本、1日48本の消費量(エネポ)となるため、保管場所が問題となる。
・騒音がすさまじいため夜間の利用が難しい(アウトランダーPHEVなら昼間に充電することで夜間の騒音をなくせる)

■ソーラーシステム・エネファームとの比較
乾電池やポータブル発電機はあくまでも簡易用、アウトランダーPHEVと「ガチ比較」をするならば、「住宅用太陽光発電システム+蓄電池」や「家庭用燃料電池(エネファーム)」との比較になる。まず前者だが、晴れならば燃料不要である点が強力なメリットであると言える。半面、雨や曇りが続くと充電ができないため、相当な節電生活を強いられるのがデメリットだ。

また注意点として、太陽光発電システム単体では、停電すると晴れた日中であっても「自宅内のコンセント」は使えないということがあげられる。ソーラーパネルで発電した電気を自宅内のコンセントで使うためには、「パワーコンディショナー(パワコン)」を動かす必要があり、そしてパワコンの動作には外部電源が必要なため、停電すると使用ができなくなるのだ。この場合は、非常用コンセントから最大1500Wまでの電力を取り出し、延長コードで個別配線することになる。

次にエネファームとの比較だが、太陽光発電システムと異なり、天候や時間帯に左右されずに利用できることがメリットだ。ただし、「燃料電池」という性質上、停電時であってもガスと水道が生きていなければ動作できないため、非常時に備えた電源としては不安が残る。また製品にもよるが出力が500W程度と小さいこと、停電時は室内のコンセント全てが使えないことなどもデメリットである。

<メリット>
・アウトランダーPHEVと比較すれば若干安い(規模によってはトントン)
・通勤や外出で車が自宅になくとも使える(逆に言えば移動できないのがデメリット)
<デメリット>
・天候・時間帯・使用条件に制約がある

まとめ


アウトランダーPHEVアウトランダーPHEV

以上「究極の停電対策」を紹介した。なお、真の最強を目指すのであれば、「ソーラーシステム」+「アウトランダーPHEV&V2H」という組み合わせが選択肢となる。停電時、晴れていれば、V2Hでパワコンを動かすことができるため、ソーラーパネルだけで自宅の家電消費をコンセントからまかなうことができ、夜間や雨天時もアウトランダーPHEVで電力供給可能であるため、平時と変わらない生活が維持できる。

さらに晴天が続けば、ソーラーパネルからアウトランダーPHEVへの充電もできるため、ガソリンを減らさずに夜間に使う電源を確保することも可能だ。危険が迫れば時速100キロで走って逃げることもでき、そのうえ避難先でも電気を使った生活をおくれる。大地震の揺れなどで即死しない限り、日常生活をそのまま継続することができるようになるのだ。

PHEV+ソーラーパネル+V2Hが広まれば、大規模災害時の停電問題はほぼ解決される。災害による脅威が増す昨今だが、対抗する技術も日々進化を遂げている。防災のあり方を変えてしまえるこのシステム、これが大富豪でなくとも導入可能な時代が今なのである。

高荷智也|ソナエルワークス代表、備え・防災アドバイザー
「自分と家族が死なないための防災対策」と「中小企業の身の丈BCP策定」のポイントを解説するフリーの専門家。地震対策や感染症パンデミック対策などの自然災害から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、分かりやすく実践的なアドバイスに定評があり、講演・執筆・コンサルティング・メディア出演など実績多数。著書に『中小企業のためのBCP策定パーフェクトガイド』など。1982年、静岡県生まれ。公式サイトは「備える.jp」。

《高荷智也》

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