フェラーリ ポルトフィーノ は「ドルチェヴィータ」、人生の楽しさを謳歌できる…極東中東エリア統括CEO[インタビュー]

フェラーリ・ジャパンは『カリフォルニア』と『カリフォルニアT』の後継となる『ポルトフィーノ』を発表。ここ数年順調に台数を伸ばしている同社に勢いをつけるクルマになることを踏まえ、経営陣に近年の状況や今後の見通しについて話を聞いた。

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フェラーリ極東中東エリア統括CEOのディーター・クネヒテル氏(左)とフェラーリ・ジャパン&コリア代表取締役社長のリノ・デパオリ氏(右)
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フェラーリ・ジャパンは『カリフォルニア』と『カリフォルニアT』の後継となる『ポルトフィーノ』を発表。ここ数年順調に台数を伸ばしている同社に勢いをつけるクルマになることを踏まえ、経営陣に近年の状況や今後の見通しについて話を聞いた。

◇株価上昇は時間をかけた実績の評価と信頼

---:まずグローバルでのお話から伺います。近年、世界の自動車メーカーの中でもフェラーリの株価上昇率は際立っています。電動化など、次世代技術の方針があまり明確ではない中で、なぜここまで評価されているのでしょうか。

フェラーリ極東中東エリア統括CEOのディーター・クネヒテル氏(以下敬称略):この評価は、これまで我々が培ってきた実績に基づいたものです。まず、我々が投入してきた車両に対して、市場が安心感を持って見ているということが挙げられます。

それから、これまでの株価そのものが安定して推移しているということは大きな要因になるでしょう。とりわけフェラーリというブランドがエクスクルーシブであり、市場において比類なき存在であるということが大きく評価され、また、お客様からのロイヤリティが高く得られていることも大きな理由だと考えています。

我々は特に電動化などの技術に関しては明確にはしていませんが、こういった背景から株価が上昇し続けているのです。

もうひとつ付け加えておきましょう。我々が目標に掲げている売上を、2年前倒しして実現したことも株主の評価が高い要因です。

明確にしておきたいのは、ハイブリッド化や電動化技術に対してフェラーリは、秘密裏に開発を進めてはいません。多大な投資をして将来に向けてに取り組んでいく所存です。

こういった状況下で、スポーツカーの分野において継続してリーダーシップを保っていきたいという目標と実績のもと、デザインにおいてもそれに見合った形での開発をこれからも進めていきます。

つまり、時間をかけてこれまで醸成してきた我々の実績、お客様からの信頼に加え、これから先、世の中の傾向としてハイブリッド化があるでしょうが、こちらの方向にもしっかりと舵を切って取り組んでいくことが、高く評価されているのです。

◇日本市場の伸びはプロダクトレンジとネットワーク強化

---:次に日本市場について伺います。2017年、日本市場の登録台数は775台と2016年の678台(いずれもJAIA調べ)を上回り過去最高でした。その要因は何だったのでしょう。

フェラーリ・ジャパン&コリア代表取締役社長のリノ・デパオリ氏(以下敬称略):最も大きな要因は、現在のプロダクトレンジ、ポートフォリオが非常に充実したものになったことが挙げられます。特にV8 GTシリーズは、カリフォルニアで非常に大きな成功を収め、このモデルはポルトフィーノとして引き継がれました。またカリフォルニアでは新しいユーザーをフェラーリに呼び込んだという大いなる偉業がありました。

それに加えて、日本でここ数年努力してきたことが実を結びつつあります。日本市場を見てみるとスポーツカーに対する盛り上がりが近年盛んになってきており、我々としてもネットワークを広げています。ディーラーの数ではかつて3つだったものが現在9店舗になりました。この結果、お客様により近いカーメーカーとしてサービスを提供していきます。

そして、アジアの地区ではサービス面において我々はリーダーのポジションをキープしていますし、ネットワークをさらに拡大することによって、しっかりとお客様のベースとなるものを育てていきたいと考えています。

◇若いユーザー層にも力を入れて

---:着実に日本市場において台数を伸ばしてきていますが、ユーザー層という面で変化は見られますか。

デパオリ:近年のトレンドとしては、GTモデルであってもバーサティリティ、多用途性、多目的性をお客様がより求めるようになって来ています。日本市場ではさらに、実際に乗車したときの居住性やキャビンの贅沢さといった、リッチな感覚も求められています。それに応える形でポルトフィーノはデザインを一新して市場投入しました。

このような状況において、若いお客様をどう取り込むかはどのメーカーも尽力しているところでしょう。我々は日本で50年にわたる長い歴史を持ち、ともに歩んできた既存のお客様に加え、若い層をどうやって取り込むかを考慮した結果、ポルトフィーノのローンチにつながったのです。

現在、カリフォルニアは世界的に見ても日本市場が一番成功を収めています。特にカリフォルニアを購入したユーザーのうち70%がフェラーリを初めて購入したユーザーであることは特筆すべきことです。

そのカリフォルニアからさらにデザインを強化し、室内の贅沢さをしっかりと演出、訴求し、高いパフォーマンスとともに実現したのがこのポルトフィーノなのです。これは、若者を魅了すると同時に、既存のユーザーにも十分訴求出来るでしょう。

---:ちなみに日本市場はグローバルで見て何番目ですか。

デパオリ:グローバルでは4番目の市場ですが、アジアだけで見るとダントツで1位です!!

◇2018年はサービスの充実とともにクラシケにも力を注ぐ

---:さて、これまで順調に推移してきた要因についていろいろお話を伺いましたが、では、2018年のマーケティング戦略はどう考えているのでしょう。

デパオリ:日本は成熟し、かつ安定した市場です。また我々にとって非常に重要な市場だということを踏まえ、今回発表したポルトフィーノによってさらに今年もしっかりと成長を遂げていかなければいけません。この成長は持続可能でなければならないのです。

ではクルマの台数のみならず、どうやって市場を成長させていくか。これは市場の中に確固としたネットワークを築くことにより、製品クオリティがしっかりとしたものだということをお客様に根付かせなければなりません。特に日本市場はクオリティに対してセンシティブですから、そこを捉えていくために、出来ることをきちんとやっていく必要があります。

例えば、 品質とともにお客様のオーナーシップの面からも満足してもらえるように、サービスを充実していく必要があります。今年は『J50』の納車も開始されますし、新たなテーラーメイドのサービス提供が開始される予定もあります。さらにクラシケビジネスも日本市場においてもしっかりとオープンにして、根付かせる活動を行なっていきたいですね。また、ローンの適用などのサービスに関しても提案出来るようにトータルで進めていきたいと考えています。

◇ポルトフィーノはドルチェヴィータ

---:今回発表したポルトフィーノについてお話を聞かせてください。これまでカリフォルニアというアメリカの地域名から、ポルトフィーノというイタリアの地域名に移りました。その理由は何でしょう。

クネヒテル:全くの偶然です。このクルマにどういった思いをお客様に抱いてもらいたかったのがまずはスタートです。そこで考えたのは、シンプルでエレガントなライフスタイルをお客様に送ってもらいたいということでした。そこで重要なのは、贅沢できらびやかではなく、慎ましやかでありながらもそこにキラリと光るものがあるということです。その感覚を持つクルマを提供したいと考えた結果、ポルトフィーノという観光地を名前にしました。

ポルトフィーノはイタリアの最も美しい港町のひとつで、ドルチェヴィータ、英語でいうスウィートライフ、つまり人生の楽しさを謳歌出来る場所なのです。フェラーリを手に入れるときの気持ちがまさにこのドルチェヴィータです。笑顔を抑えきれない、まさに満たされている感覚でしょう。

また世界で最も優雅な街ですが、慎ましい優雅さが特徴で、この点はとてもフェラーリ的といっていいでしょう。

---:エンジンにンついて伺います。フェラーリのV8はターボ化が一通り進んだと思います。その一方でこれまで自然吸気(以下NA)エンジンを選んでいたユーザーは、NAのフィーリングを重視して購入していたと考えられます。そこで、今後フェラーリはNAに対してどう考えていくのでしょうか。

クネヒテル:フェラーリのV8は現在ターボを採用していますが、これは出力を高めるためだけに採用しているのではありません。フェラーリ独特のゼロターボといわれる特性や、サウンドといったお客様の注目を引くことが出来る、フェラーリ独特の開発内容になっています。これは世界的にも訴求出来るポイントです。

V8ターボエンジンの採用に対しては特にカリフォルニアTで成功を収めており、既存のお客様のみならず新しいお客様をここでも獲得することが出来たのは、このV8ターボエンジンの影響が大きかったと考えています。

一方、自然吸気エンジンに関してですが、このエンジンのファンをどうするかは慎重に考えていきたいと思っています。我々がここまで成長出来たのは、これまでしっかりとNAエンジンで実績を積み、お客様のロイヤリティを勝ち取ることが出来たということがあるからです。またこのNAエンジンを愛してくれるお客様がたくさんいることも十分認識していますので、NAエンジンの扱いをやめるという決断はもっと慎重に検討していく必要があることは重々承知しています。
《内田俊一》

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