ムーヴキャンバス と 初音ミク とのコラボ…背景を企画担当者に聞く

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札幌モーターショー2018
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  • ダイハツ北海道販売の竹田幸弘取締役は、総合営業企画部の部長でもある
  • ムーヴ キャンバス・初音ミク リミテッドパッケージ
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  • ボンネットストライプは、ネクタイをアレンジしたもの
1月中旬に札幌ドームで開催された「札幌モーターショー2018」。ここでダイハツ『ムーヴキャンバス・初音ミクリミテッドパッケージ』が初公開された。これは北海道地域の販売ディーラーが企画した仕様だが、全国で購入可能。2月中に発売となる予定だ。

初音ミクリミテッドパッケージは大きな注目を集め、「初音ミク」を知らない女性や年配層からも大好評だった。企画したのは、北海道のディーラーネットワークであるダイハツ北海道販売。それでは、この特別なムーヴキャンバスはいったいどのような経緯で誕生したのだろうか。

話は2014年に遡る。実はムーヴキャンバスは、ミクバージョンの第3弾。14年の『ミラココア』、16年の『キャストアクティバ』に続くものだ。気をつけなければいけないのは第1弾、第2弾で起用されたャラクターは、初音ミクではなく「雪ミク」だったということだろう。雪ミクは「さっぽろ雪まつり」で初音ミクが雪像化されたことをきっかけに誕生した、いわば北海道ローカルの派生バージョンだ。

第1弾のミラココアの雪ミク仕様について「ご当地ココアといった感じで、全国の販売ディーラーごとに独自の限定車を作ろうという動きがありました。それが発端です」と経緯を説明するのは、ダイハツ北海道販売の竹田幸弘取締役。まず「北海道ではどんなものが喜ばれるのか。いちばん北海道らしいものってなんだろう?」と考えたという。

そして「ココアはもともとパステルカラーが多かったので、それぞれの色に合うボーカロイドをあてがってはどうか? という話が出た」という。ボーカロイド製品を開発・製造するクリプトン・フューチャー・メディアは札幌が本拠地で、ボーカロイドは北海道を代表する商品、コンテンツだからだ。そこでクリプトンを訪問したところ「北海道限定ということなら、雪ミクを使ってみませんか?」と提案され、雪ミクを起用することになったとか。

当初から「普段使いのできるクルマにする、というのがキーワードでした。女性にも理解してもらえるようなものでなければいけないということで、あまり痛車っぽいものにするつもりはありませんでした」と竹田取締役は振り返る。つまり可愛いキャラクターでありながら、地域振興のためにさまざまな場面で活躍し、幅広い層から支持を集めていた雪ミクは適任だったわけだ。

またクリプトン側の利益とも一致したのでは、と竹田取締役。「クリプトンでは当時、ボーカロイドは若い男性の間で認知度が高いものの、一般女性への浸透が足りないと感じていたようです。だからもともと女性ユーザーを強く意識したミラ ココアでミク仕様を作れば、女性の認知度もさらに上がるのでは? ということで、企画を進めることになりました」とのこと。結果的にミラ ココアの雪ミク仕様は男女半々ぐらいの比率で売れ、また問い合わせは全国からあったという。

続く第2弾では「こんどは男性も気兼ねなく乗れる車種で」ということで、キャストアクティバをベース車両に起用。アクセサリーキットとして設定され、DBC(ダイハツビジネスサポートセンター)を通じて全国にも販売された。そして第3弾となる今回、キャラクターが雪ミクから初音ミクに変更された背景には、当初から全国展開を意識して企画を進めたことがあるようだ。

札幌モーターショーに展示されたムーヴキャンバスのミク仕様は、よくあるメーカー純正のドレスアップキットと比べると、むしろ控えめにさえ感じられる。ボディカラーやインパネ加飾カラーは、純正設定のミントグリーンそのまま。これは初音ミクのカラーにイメージが近いので、わざわざ変更する必要がないと判断した結果とのことだ。

シートカバーをはじめ、インテリアではDBCが新たにデザインし、装着されるアイテムが多い。しかし初音ミクの個性を反映させつつも、グラフィックを洗練させているおかげでキャラクターグッズ感覚は薄い。実際にモーターショー会場では、興味を持って眺めているうちに説明員から聞かされ、はじめて初音ミクを知った人も少なくなかったという。

ところで、雪ミクから初音ミクになったことは「北海道らしさ」の表現が薄まったということでもある。「世界を股にかけるアイドルですから、束縛しようと思ってもできません」と竹田取締役は笑う。

そうなると寂しさもあるのでは、と尋ねると、意外な答えが返ってきた。「それよりも北海道で企画されたものを、全国各地で買ってもらえるようになったことが嬉しい。北海道から全国に広まってくれるといいですね」とのこと。

「いままでは完成車メーカーが企画し、それを各地のディーラーが受けるというビジネスが多かった。でも今回は、ディーラーで企画して価格も決めて作って、それを逆に押し上げるパターンです」という。そして「ディーラーだからこそ、できることもあると思います」と続ける。

「ディーラーはもっと、ある特定のお客様だけに受け入れられるものを企画してもいいと思う。自動車メーカーより小回りがききますから、いっそう愛着を持ってもらえる商品を提供できることもあるはず」と竹田取締役。「これからも小さなクルマで北海道を支援、応援していきたい」と語るが、その姿勢やアイデアは、北海道だけに留まるものではないだろう。
《古庄 速人》

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