先代のイメージを踏襲するデザインだが、3代目となった新型『X3』に近づくと、ボディがさらに大きくなったことを実感する。それもそのはずで、プラットフォームは『7シリーズ』や『5シリーズ』をベースにした最新型に変更されたのだ。ホイールベースが先代より55mmも延長されているのを見ると、やはり車格が1ランクアップしたように感じる。当然、全長も拡大されてX3歴代最長の4720mmになったものの、全幅はあまり変わらず先代より10mm広い1890mmにとどめられた。全高も1675mmで先代と同じだが、ボディのスケール感は、上級モデルの『X5』に迫る感じだ。試乗に用意されたのはディーゼルのみで、2リットルのガソリンターボ20iは2018年2月以降の納車予定のため試乗車がなかった。当面、2リットルディーゼルと同ガソリンの2タイプが日本市場に導入される。X3のアクセルを深く踏み込むとスポーティモデルらしいスタートダッシュを見せる。まるでガソリン車のようなスピードでタコメーターの針が跳ね上がり、スムーズなシフトアップを繰り返す8速ATによって一気に加速する。アップシフトは4700回転。そこまできっちりパワーが上昇する感じでディーゼルにありがちな頭打ち感がまったくない。低回転域からトルクが太く、ガソリン車のように高回転域でも吹き上がり軽い印象だ。箱根のワインディングロードを走るとボディ剛性感が高いことを実感する。新型のプラットフォームが上級モデルをベースにしているからだが、アンジュレーションがきつい場所でもしっかりした感触がクルマ全体から伝わってくる。高速コーナーでも4WDであることを忘れさせるスポーティなハンドリングで、アンダーステアを感じさせない。コーナー入口で狙ったラインをスムーズにトレースできる感じで、立ち上がりでアクセルを早めに踏んでいってもアンダーステアにはなりにくい。ダイナミックな走りを実現しているが、Mスポーツであることを考えると高速コーナーでのボディの動きをもっと抑えたい。アンジュレーションがあるところでもボディはしっかりしているが、専用のMスポーツサスペンションが上下動を抑えきれていない感じがする。プレミアムモデルということでMスポーツでも乗り心地を重視したのかもしれないが、Mスポーツはもう少しハードなセッティングでもよかったと思う。ディーゼルのエンジン音はよく抑えられている。アイドリング時の車外騒音が低く、加速時の車内でもディーゼルであることを感じさせない。アクセルを踏み直すような場面でもカラカラといった音は一切ない。インテリアの仕上げもよく、最新の先進安全装備が付く新型X3は、よりプレミアム感が高められた印象だ。■5つ星評価パッケージング:★★★★インテリア/居住性:★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★★丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。