混雑率150%台へ残り3カ月…小田急電鉄、複々線化工事まもなく完了へ

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小田急小田原線の地下緩行線はほぼ完成。2018年3月の複々線化に向け準備が進められている。
  • 小田急小田原線の地下緩行線はほぼ完成。2018年3月の複々線化に向け準備が進められている。
  • 下北沢駅の駅舎も工事中。
  • 下北沢駅の緩行線ホーム。柵が設置されたが将来的にはホームドアに置き換えられる。
  • 下北沢駅から世田谷代田駅に向けて緩行線トンネルを歩く。開削トンネルのため四角い形状だ。
  • 上下線の間に柱がない空間。
  • トンネル断面が四角くなっているのが分かる。
  • 緩行線内は縦方向の枕木(ラダー枕木)を採用。横方向の枕木に比べレールや車両の重さが均一に分散され、メンテナンスが軽減されるなどのメリットがある。
  • 視察者向けなのか、かつて地上にあった踏切の位置を示す案内が貼り付けられていた。

小田急電鉄は12月21日、小田原線の代々木上原~梅ヶ丘間の約2kmで進めている複々線化工事のうち、下北沢駅から世田谷代田駅までの区間(東京都世田谷区)を中心とした工事現場を報道陣に公開した。2018年3月3日から使用を開始し、3月17日のダイヤ改正に備える。

代々木上原~梅ヶ丘間では地上の線路を地下に移設するとともに、線路を増やして複々線にする工事が2004年9月から始まった。特急ロマンスカーや急行などの速達列車が走る急行線トンネルと、各駅停車などが走る緩行線トンネルを上下に並べた2層構造で計画された。2013年3月には急行線トンネルのみ完成。急行などが停車しない東北沢駅と世田谷代田駅は急行線トンネルに仮設ホームを設置することで暫定的に地下化した。

その後、急行線トンネルの直上を通る緩行線トンネルの工事が本格化。トンネルの構築や線路・架線の設置が完了し、現在は電気や信号関係の施設のチェックが行われている。2018年1月には法令に基づく検査が行われる予定だ。主にシールド工法を採用した急行線トンネルが円形であるのに対し、緩行線トンネルは上から掘り進む開削工法で構築されており、トンネル内部は四角い形状になっていた。

シールド工法で構築したトンネルのすぐ上に、開削工法のトンネルを建設するのは珍しい。一番近い場所では、急行線トンネルと緩行線トンネルの構造物が約70cmまで迫っているという。小田急複々線建設部の宮原賢一課長は「急行線トンネルへの影響を計測しながら、慎重に緩行線トンネルの掘削を進めた。急行線トンネルに最大で約10mmのズレが発生すると想定していたが、実際のズレは半分の約5mmだった」と話した。

小田急は2018年3月3日から緩行線の使用を開始し、現在の工事区間を含む代々木上原~和泉多摩川間の複々線化を完了させる予定。当面は現行ダイヤのまま運行するが、2週間後の3月17日にダイヤ改正を行い、朝ラッシュ時を中心に大幅な増発と所要時間の短縮を行う。小田原線の混雑率(2016年度)は192%だが、ダイヤ改正直後は150%台まで下がり、その後は利便性の向上に伴う他線からのシフトで160%台まで上がる見込みだ。

《草町義和》

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