【東京モーターショー2017】古典的美学とモダンさを融合…ザガートのビジョン・グランツーリスモ

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ザガート・イソリヴォルタ・ヴィジョン・グランツーリスモ・コンセプト(東京モーターショー2017)
  • ザガート・イソリヴォルタ・ヴィジョン・グランツーリスモ・コンセプト(東京モーターショー2017)
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  • ザガート・イソリヴォルタ・ヴィジョン・グランツーリスモ・コンセプト(東京モーターショー2017)
  • ザガートのアンドレア・ザガートCEO(東京モーターショー2017)
  • ザガートの原田則彦デザイン担当副社長(東京モーターショー2017)

グランツーリスモブースでザガートは、『イソリヴォルタ・ザガート・ビジョン・グランツーリスモ』をワールドプレミアした。往年のGTカー、イソ『リヴォルタ』の名が与えられ、古典的美学をたたえたスポーツカーだ。

カンファレンスでは、 ザガートのアンドレア・ザガートCEOが「グランツーリスモ(GT)という呼び名は、1950年代はじめにミラノで生まれました」と説明し、(ゲームの)グランツーリスモへの謝意を述べた。その理由は「この機会に、すべての始まりであるミラノの街へ感謝の意を贈れるからです」という。

GTという概念の誕生地ミラノで活動を続けてきたカロッツェリアが、GTという名を冠したコンテンツのためにデザインを提供するというのは、それだけ特別な意味を持っているわけだ。

それではなぜ、その名がイソリヴォルタなのか。この背景にはまず、ザガートの現CEO、アンドレア・ザガート氏の妻がイソ創業者レンゾ・リヴォルタの孫にあたり、「イソ」というブランドをザガートが使えるという事実がある。

実際にザガートは90年代末、マイクロカーの傑作、イソ『イセッタ』を彷彿させるコンセプトモデルをイソ『シティ』という名称で公開したこともある。イソという名は、ザガートにとって大切な資産なのだ。

そしてかつてのリヴォルタは、ベルトーネによる美しいボディにシボレーのV8エンジンを搭載。レースでも活躍してイソに成功をもたらしたGTカーだ。なぜリヴォルタか? という問いにザガートCEOは「時が来るのを待っていたのです。これまでにも、この名を冠した車両を作って公開することはできました」と述べる。

しかし実際には、自主制作モデルに使うことはなかった。そしてグランツーリスモのプロジェクトが立ち上がると「いまが理想的なタイミングだ、と思ったのです」と語る。ちなみにこの最新モデルには「IsoRivolta」(イソリヴォルタ)と、かつての企業ブランドと車種シリーズ名を一体化させた表記が与えられている。

それでは、21世紀のリヴォルタはどのようなクルマなのだろうか。公開されたモックアップは、全体的にはロングノーズ・ショートデッキという古典的FRスポーツカーのプロポーションを持つ。これは「古典的な自動車美というものを残したいと考えた結果です」と説明するのは、ザガートのデザイン担当副社長、原田則彦氏。

「ロマンティックな部分を残しつつも、コンテンポラリー(現代的)でハイパーな感じ。ただしハイパーといっても、兵器のようなところまでにはいきません」という。あくまで「ツーリングカーとレーシングカーの中間」というGTカーとしての資質を尊重しつつ、古典的な美学とモダンさを融合させようとしたと語る。

ディテールでは、前後フェンダーがボンネットやキャビンとは別の、独立したマス(塊)となっているのが特徴。「自動車は100年を超える歴史の中で、どれも同じような形に収斂してきました。90年代ぐらいにはどこまでがボンネットで、どこからがフェンダーなのかもわからなくなってしまいました」と原田氏。

「そこでもう一度、未来に向かって再分割してゆく。そういう発想で構成しています」と、スタイリングの意図を説明する。「どこがフェンダーで、どこがキャビンなのか。立体としてはっきりわかるデザインです」とのことだ。

言うなれば「フェンダーがボディと一体化していなかった時代の美学」を見つめ直そうとする姿勢だが、それはただのレトロ志向ではない。「新しいものを作りながら古いものを残すということには、二律背反の部分もあります。ただし立体としてはアドバンス(先進)しているが、古典的な自動車らしさを同居させるというのがザガートらしさであり、このクルマで見ていただきたいところです」と原田氏。

イソリヴォルタ・ビジョン・グランツーリスモは現在のところ、ゲームの中で走らせることしかできない。しかし実際にはキャラウェイのV8ユニットを搭載する想定でデザインされている。イタリアンデザインのボディにアメリカのパワーユニットを組み合わせるというのもまた、かつてのリヴォルタと同様。

なお、原田氏にランニングプロトタイプを作る予定について尋ねると「できるならぜひ作りたい。細かい設計まで煮詰めているわけではないが、実際に走れることを念頭にデザインしていますから」とのことだった。

《古庄 速人》

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