サーキットで試乗した新型『GSX-R1000R』。ストレートでの安定性も抜群にいい。
「スイングアームを35mm伸ばしたことで、直進安定性が高まりました」
そう教えてくれたのは車体設計担当の小林浩二さんと、エンジン実験を担当した小林勇太郎さん。ふたりの担当は異なるものの、互いに意見を出し合い、車体とエンジンのベストバランスをとことん追求した。
「基本的に安定性というのはリアまわりがすごく影響していまして、スイングアームを伸ばすことで安定感は増すのですが、ホイールベースが長くなり過ぎれば旋回性が犠牲になってしまいます。新型GSX-R1000Rではテストを繰り返した結果、最終的にこのディメンションが決まりました」(小林勇太郎さん)
旋回性向上のためにエンジンの前後長を短縮し、フロント荷重を増やした新型GSX-R1000R。フロントアクスルからスイングアームピポットまでの距離は、従来型より20mm短い。
「いろいろな長さのスイングアームをテストしまして、最初は(従来型より)20mm長いものもやっていましたが、さらに15mm伸ばすというのがベストだと結論を出しました」(小林浩二さん)
「コーナーの立ち上がりで、少しでも早くスロットルを開けられるようなライダーにやさしい特性、それが速さに繋がるとエンジン開発の担当者とも意思を共有できていましたので、エンジン前後長を短縮してもらってスイングアームの長さをじっくり追求することができました」(小林浩二さん)
一昔前だと、軽くてパワフルだが、敏感すぎて走らせるのがコワイというマシンも存在した。上手いライダーが乗れば、もしかしたらそっちのほうが速いのかもしれない。
しかし新型GSX-R1000Rには、乗っていて安心感がある。ふたりが言うとおり、その安心感がアクセルをより早く、より大きく開けさせてくれ、結果的にラップタイムを上げてくれるのだ。