久々に“RR”の名称が与えられたホンダ期待の250ccスーパースポーツモデルが新型『CBR250RR』だ。新開発の水冷4スト並列2気筒エンジンには、ホンダならではの先端技術が注ぎ込まれている。ショートストローク化とバルブの大径化による吸排気効率アップやピストン形状の最適化、フリクションロス低減などにより、38ps/12500rpmというクラス最強の動力性能を実現している。加えてパーツの配置変えや省スペース化などエンジン内部の緻密なレイアウト構成により、単気筒並みのスリム化に成功している。フレームはスチール鋼管をトラス状に組むことで高剛性を確保。ハイパワーに対応しつつ車体骨格としての美しさも追求している。コックピットも未来感のあるフルデジタルメーターを採用し、ギヤポジションやラップ計測モードなどを備えるなど、サーキットを意識した装備が見て取れる。ホンダの話では、CBR250RRの開発は若手メンバーを中心に進められ、「自分が本当に欲しいか!?」を突き詰めたのだと言う。スペックという定量的なモノサシだけでなく、感覚的なひらめきも大事にしたのだとか。また、組み立てや塗装はホンダの熊本工場で行われるなど、品質管理にも徹底したクオリティを求めていることも見逃せないポイントだ。事実、日本仕様はサスペンションの設定がインドネシア仕様とは異なり、前後タイヤもラジアルタイプに変更されるなど走行性能も一段と高められている。ライポジはハンドルがトップブリッジ下側にセットされ、上体も前傾したレーシーな雰囲気だ。車体がスリムなためホールドしやすく足着きも良い。CBRの美点はまずエンジン。圧倒的な高回転パワーと、どの回転域からでも加速する豊かなワイドトルクにより、発進からピークエンドまで一気に伸び切る上昇感が気持ちいい。低中速域での鼓動感と直4並みに澄み切った高周波サウンドも魅力だ。そして、注目すべきはクラス初の「ライド・バイ・ワイヤ」だ。よく調教されている印象で、右手に対する反応も極めてスムーズ。自分が意図するパワーをそのまま取り出せる感じだ。3種類のライディングモードについてもそれぞれ違いは明確で、最強の「Sport+」では俊敏なレスポンスとひと際盛り上がるパワー感を楽しめる。逆に最も穏やかな「Comfort」はスロットルを開けやすく、路面の悪いところでも安心して走れるので疲れにくい。クラス唯一の倒立フォークとアルミ製スイングアーム、ホンダ十八番のプロリンクサスを装備した足まわりはまさにワンクラス上のグレード感で、特に高速コーナーでの安定感は抜群のものがある。φ310mmのペタルディスク採用のブレーキも強力かつコントロールしやすい。斬新なデザインの中に高品質なパーツを詰め込み、最新テクノロジーでまとめ上げた現代のRR。その分価格も跳ね上がったが、その価値は十分にあると思う。「クラスを超えた」という表現がまさに当てはまるスーパークォーターだ。■5つ星評価パワーソース:★★★★★ハンドリング:★★★★★扱いやすさ:★★★★★快適性:★★★★オススメ度:★★★★★佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。
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