鉄道の長期運休区間、約40km減少…3月末

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3月末の運休区間。2月末に比べ40.7km減少したが、2015年度末との比較では28.4km増加した。
  • 3月末の運休区間。2月末に比べ40.7km減少したが、2015年度末との比較では28.4km増加した。
  • 常磐線は4月1日に浪江~小高間が再開。10月頃には竜田~富岡間も再開の予定だ。
  • 熊本地震の影響を受けた南阿蘇鉄道は中松~高森間のみ再開。立野~中松間は再開のめどが立ってない。

事故・災害による鉄道路線の長期運休区間は、3月末時点で計473.3kmだった。2月末時点に比べ40.7km減少した。2015年度末(2016年3月末)との比較では28.4km増加している。

3月は大井川鐵道の井川線が全線再開。雪害運休中だったJR西日本の木次線や、脱線事故で一部不通となった熊本電気鉄道も再開した。このほか、東日本大震災の運休区間のうち常磐線の浪江~小高間が4月1日に再開。4月末には秋田内陸線も全線再開の見込みだ。

●JR北海道 根室本線 東鹿越~新得(北海道) 41.5km
2016年8月に発生した台風災害の影響で運休中。東鹿越~落合間のみ代行バスが運行されていたが、3月28日からは代行バスの運行区間が運休区間と同じ東鹿越~新得間に拡大された。1日の平均通過人員(旅客輸送密度)が200人未満と少ないことから、JR北海道はバス転換を軸に沿線自治体と協議する方針を示している。

●JR北海道 日高本線 鵡川~様似(北海道) 116.0km
2015年1月以降の高波や台風による被害で運休が続いており、バスによる代行輸送が行われている。旅客輸送密度は200人未満で、JR北海道は鉄道の復旧を断念。バス転換に向けて沿線自治体と協議する方針を示している。

●秋田内陸縦貫鉄道 秋田内陸線(秋田県) 阿仁前田~阿仁合 7.8km
今年2月に路盤崩落の恐れが確認されたことを受け運休中。バスによる代行輸送が行われている。4月末には再開の見込みだ。

●JR東日本 山田線 上米内~川内(岩手県) 51.6km
盛岡~宮古~釜石間を結ぶ山田線の山岳区間。2015年12月に発生した土砂流入で運休しており、岩手県北バスの都市間バス『106急行』への振替輸送が行われている。今秋にも再開の予定。

●JR東日本 山田線 宮古~釜石(岩手県) 55.4km
盛岡~宮古~釜石間を結ぶ山田線の海岸区間。2011年3月に発生した東日本大震災の影響で運休しており、岩手県北バス・岩手県交通の路線バスによる振替輸送が行われている。2018年度末の再開に向けて復旧工事が進められており、三陸鉄道が列車の運行を引き継ぐ形で再開する予定だ。

●JR東日本 大船渡線 気仙沼~盛(宮城県・岩手県) 43.7km
●JR東日本 気仙沼線 柳津~気仙沼(宮城県) 55.3km
2011年3月に発生した東日本大震災の影響で運休中。バス高速輸送システム(BRT)による代行バスが運行されている。JR東日本と沿線自治体はBRTを「本格復旧」と位置づけて継続運行する方向で合意。鉄道の廃止が決まっている。

●JR東日本 只見線 会津川口~只見(福島県) 27.6km
2011年7月に発生した豪雨の影響で運休中。バスによる代行輸送が行われている。沿線自治体は上下分離方式の導入による復旧で合意しており、復旧後の鉄道施設を自治体が保有。JR東日本が列車の運行を行うことになる見込みだ。

●JR東日本 常磐線 竜田~小高(福島県) 36.6km
2011年3月に発生した東日本大震災と福島第一原子力発電所事故の影響で運休中。運休区間より広い竜田~原ノ町間で代行バスが運行されており、途中駅には富岡・浪江・小高の3駅のみ停車している。

4月1日に浪江~小高間8.9kmが再開したことにより代行バスの運行体系も大幅に変更されており、竜田~富岡間の区間バスを大幅に増発。竜田~原ノ町間の直通バスは上下計4本中3本が竜田~浪江間に短縮された。

今後は竜田~富岡間が今年10月頃に再開の予定。原発事故による帰還困難区域を通る富岡~浪江間は2019年度末までの再開を目指す。

●JR九州 豊肥本線 肥後大津~阿蘇(熊本県) 27.3km
2016年4月に発生した熊本地震で、土砂崩れによる線路流失などの被害が発生。代行バスは朝夕の通勤通学時間帯のみ運行されており、休日は全便運休している。

JR九州は今年4月に復旧工事のための現地事務所を開設。肥後大津~立野間で先行的な復旧工事に着手する。

●南阿蘇鉄道 高森線 立野~中松(熊本県) 10.5km
2016年4月に発生した熊本地震の影響で、路盤が流失するなどの被害が発生。代行輸送は行われていない。

《草町義和》

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