もともとドイツ車はボディ剛性が高く、全体に引き締まった印象を持っているが、新型『5シリーズ』は予想をはるかに上まわる高いボディ剛性を誇っていた。走行中にボディはピシリともせず、ガッシリとした重厚な乗り味を披露する。加えて、ステアリングは恐ろしいほどに中立を維持し続ける。高速道路ではどこまでも真っ直ぐ走り続けるような印象だ。ボディ剛性を上げ、ガッシリとした走りを手に入れるにはボディをしっかりと作ればいい。しかし、それをやり過ぎるとクルマは重くなる。ロールス・ロイスは重くなることを承知でボディを作り、しっかりとしたボディと重い車重で独特の高級感をかもし出しているが、それではBMWにならない。5シリーズはBMWらしく、軽量化を行いながらボディに見事な剛性感を与えた。『7シリーズ』のようにカーボンは使っていないが、7シリーズを超えるボディを実現している。試乗車は2リットル直4ディーゼルエンジンを搭載する「523d」は最高出力が190馬力、最大トルクは400Nm。アイドリング付近から大きなトルクを発生する特性で、ゆったりとしつつも力強い加速感を実現。アクセルペダルを強めに踏んだときは、3リットル6気筒モデルをしのぐ加速を味わうことができる。ディーゼルエンジン特有の振動や騒音は上手に抑えられ、一世代前の4気筒ガソリンエンジンなみとなっている。エンジンの特性、どっしりとしたハンドリング、この2つがもたらすものは快適なハイスピードクルージングにほかならない。500km程度の高速道路移動なら、ノンストップで走ってしまえるようなフィーリングを持っている。では街中ではどうか? といえば、各種カメラやセンサーに助けられて意外なほどに狭いところもいける。60km/h以下ではリヤタイヤが逆位相に切れる4WSも備えているのも使い勝手をアップしている大きな要因だ。新型5シリーズは7シリーズに迫る性能を誇っている。もちろん広さでいえば7シリーズが上だが、BMWは単なる広さだけでなくドライビングプレジャーを伴うことが最大の魅力。その部分を加味すれば、今回の5シリーズは7シリーズを凌駕するのに十分な資質を備えるモデルに仕上がっていると言える。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★★諸星陽一|モータージャーナリスト自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
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