「赤いロマンスカー」小田急70000形の特徴は?

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70000形の編成イメージ。小田急ロマンスカーの「象徴」といえる前面展望席を設ける。
  • 70000形の編成イメージ。小田急ロマンスカーの「象徴」といえる前面展望席を設ける。
  • 70000形の編成イメージ。車体塗装は「バーミリオン」を採用する。
  • 70000形の編成イメージ。連接台車は採用せず、一般的な台車方式になる。
  • 先頭車の断面イメージ。前面展望席は16席設ける。
  • 先頭車の客室イメージ。荷物棚は設けず、側面の窓は大型化する。
  • 中間車の断面イメージ。定員は400人確保して通勤輸送での使用も考慮する。
  • 中間車の客室イメージ。
  • 70000形は7000形の代替として製造される。
小田急電鉄は10月20日の記者会見で、特急ロマンスカー用の電車の新造とリニューアルを発表した。とくに注目されたのが、「赤いロマンスカー」こと「70000」形の新造だ。2017年11月に完成させ、2018年3月からの営業運転開始を予定している。

今回の会見では、70000形の開発コンセプトや車内外のイメージデザインが明らかにされた。同車は小田急ロマンスカーの「伝統」を受け継ぎつつ、時代に合わせた「新機軸」を盛り込んでいる。

■「伝統」のバーミリオンと「象徴」の展望席

関東の一大観光エリアである箱根などへ向かう観光列車として、あるいは東京の座席指定制通勤列車として運転されている小田急の特急ロマンスカーでは、愛称「LSE」/ 形式「7000」形電車22両(11両連接編成2本)と「EXE / 30000」形電車70両(6両編成7本と4両編成7本)、「VSE / 50000形」電車20両(10両連接編成2本)、「MSE / 60000」形電車42両(6両編成5本と4両編成3本)が使われている。

このうちLSEとVSEは、運転台越しではない前面展望席を設けているのが特徴。2005年3月に運転を開始したVSEはとくに人気が高く、座席の供給不足という課題を抱えている。一方、LSEは製造から30年以上が経過しており、置換えの時期を迎えている。

こうしたことから小田急は、LSEの代替として70000形を14両(7両編成2本)新造し、箱根観光特急を中心にVSEとペアで運用することにしたという。製造費用は約40億円(2本合計)で、車両の製造は日本車輌製造が行う。

コンセプトは「箱根につづく時間(とき)を優雅に走るロマンスカー」とし、デザインはVSEや箱根登山鉄道「アレグラ号」、大山観光電鉄の新型ケーブルカーで実績のある岡部憲明アーキテクチャーネットワークが担当する。車体の塗装はLSEなどで用いられている赤系統の「バーミリオン」を採用。会見で岡部憲明アーキテクチャーネットワークの岡部代表は「バーミリオンは小田急の伝統色。バラの色をベースにしたい」などと話した。

編成両端の先頭車にはLSE、VSEと同様、小田急ロマンスカーの「象徴」である前面展望席を設ける。その一方、台車方式はLSE、VSEで採用された連接台車ではなく、通常の方式を採用。1両の長さも日本の旅客車両では一般的な約20m(VSEは先頭車約18m・中間車約13m)とするが、車両数がVSEの10両から3両減って7両となることから、編成全体の長さはVSEとほぼ同じ約142mになる。

■荷物棚廃して眺望性向上

箱根向けの観光輸送だけでなく通勤輸送での運用も考慮し、編成定員はVSEより約40人多い400人を確保する。これが70000形の「最大のポイント」(岡部代表)であるという。

展望席は16席で荷物棚は設けない。これにより「展望車両として大きな空間とダイナミックを眺望」を創出するという。展望席以外の客室も荷物棚は設けず、座席の下に荷物収納スペースを設けるほか、4号車を除く各車のデッキ付近にも収納スペースを設ける。側面の窓はVSE、MSEより30cm高い100cmの連続窓を採用し、眺望性の向上を図る。

このほか、編成中の全車両に電動油圧式フルアクティブサスペンションを搭載し、左右方向の振動を抑える。全ての車両にこの機構を搭載するのは、在来線の鉄道車両としては初めてという。車内Wi-Fiシステムも導入し、インターネット接続環境を提供するほか、展望ライブ映像などのコンテンツも配信する。

バリアフリー対策としては、電動車椅子に対応した乗車スペースやトイレを設けるほか、授乳時や体調不良の際に利用できる多目的室も設置する。また、防犯対策として出入口デッキ部と客室内に防犯カメラを設置し、乗務員室からリアルタイムで確認できるようにする。

走行装置は全閉式モーターを採用して騒音を軽減。SiC素子を用いたVVVFインバーター制御装置やLED照明などの採用により省エネルギー化を図る。また、脱線時などに列車を緊急停止させる異常挙動検知装置や、雨が降った際に車両の滑走を低減する編成滑走制御も導入。安全性を高める。

■車両愛称は「SE」ベースか?

鉄道マニアとして気になるのは、70000形の車両愛称だ。小田急ロマンスカー用の電車は1957年に登場した「3000」形の「SE」以降、「3100」形が「NSE」、7000形がLSE、「10000」形が「HiSE」、20000形が「RSE」、以下EXE、VSE、MSEというように、アルファベットの愛称が付けられてきた。「SE」は「Super Express」の略で、「SE」だけの3000形や30000形「EXE」を除き、「SE」の頭に「Luxury」「Vault」などの頭文字を付けている。

これまでの「慣例」に従えば、「SE」の頭にアルファベット1文字を加えた愛称が付けられるはずだが、今回の記者会見で小田急は「検討中」とし、愛称は明らかにされなかった。70000形にも同様の愛称が付けられるかどうかが、今後の焦点の一つになりそうだ。
《草町義和》

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