なかなか発表されなかった日産『エクストレイル』のハイブリッド版がついに登場。試乗の機会を得た。エクストレイルのハイブリッドは、基本的にガソリンエンジン車にモーターをプラスしたという考え方でいいだろう。ガソリンエンジン車、ハイブリッドともにエンジン出力は147馬力。ハイブリッドの場合は、このエンジンに41馬力のモーターをプラスして、システム出力188馬力を実現している。エクストレイルハイブリッドのシステム構成は、エンジン/クラッチ/モーター/CVTというパラレル構成。エンジンのみでも、モーターのみでも走行可能。さらにCVTにトルクコンバーターが付いていないので、トルクの伝わり方にダイレクト感がある。乗ってみて感じるのはモーターがいつ動いて、いつ止まっているのかがほとんどわからないということ。もちろん、モニターを確認すればわかるのだが、それをしない限りかなりわかりにくい。これはハイブリッドにとっては、「いいこと」として評価される。しかし、ある程度はモーターが動く、動かないがわかったほうが運転手としては楽しい。ハイブリッドを感じることができるのが、給油時のみじゃあちょっとつまらない。エクストレイルハイブリッドの大きな特徴は、ガソリンエンジンと同様にオールモード4×4iの駆動方式が選べること。モーターがクルマのシステムとしてのトルクをかさ上げしてくれている上に、このオールモード4×4iが使えるのだからラフロードでの走りにも期待が大きい。高速道路を走っていても、一般道を走っていても十分なトルクに助けられて、2リットルエンジンを超えた余裕のある走りが可能。ゆったりと余裕のある走りは、クルージングを楽しむのにはピッタリの設定。車重はエンジン車よりも60kg程度重いがハンドリングなどに大きな影響は感じられない。エクストレイルハイブリッドがガソリンエンジンモデルと大きく異なる点は、サードシートが装着されないこと。エンジンモデルにもサードシートレス仕様があるが、ハイブリッドの場合はシステムを搭載するためサードシートの取り付けが物理的に不可能となっている。つまりエクストレイルハイブリッドはハイブリッド化するにあたり、サードシートをあきらめたわけだが、それではパッケージングの妙というものを感じることはできない。なんとか工夫をして3列シートを維持したまま、ハイブリッド化を実現してほしかった。■5つ星評価パッケージング:★★★インテリア/居住性:★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★諸星陽一|モータージャーナリスト自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。