バンコクで新型『トライトン』に試乗した。外観デザインは従来のモデルを継承した印象ながら、ややおとなしくなった感じである。今回はダブルキャブの4WD、メガキャブの4WD、メガキャブの2WD、また2.4リットルの新世代ディーゼルと2.5リットルの従来型のディーゼル、ATとMTなど、いろいろなモデルに試乗した。その中で最も注目されたのは新世代ディーゼルだ。新たに開発された2.4リットルのディーゼルエンジンは、16バルブのDOHCのMIVEC仕様で、コモンレールの直噴+インタークーラー付きターボ仕様により、133kW(181ps)/430Nmの余裕十分の動力性能を発生する。最新のエンジンらしく環境性能にも優れたクリーンディーゼルで、従来の2.5リットルに比べると大幅な進化を遂げている。動力性能ばかりでなく、燃費や静粛性の向上も著しい。実際に走らせてみると、走り出した瞬間から新世代のディーゼルであることが分かる。吹き上がりがスムーズで、なおかつ低速域でのトルク感に優れているからだ。特設の試乗コースでは、いろいろな走りを試せるセクションが設けられていた。発進加速を試すシーンでスポーツモード付き5速AT車のアクセルを思い切り踏み込んでいくと、レッドゾーンの少し手前の3800回転あたりまで引っ張って変速していく。それに至る回転の上昇が実にスムーズで、たちまちのうちに変速点に到達する感じである。ディーゼルとは思えない吹き上がりの良さだ。しかもこのような走りを試したときにも、振動や騒音が良く抑えられていた。その意味でもディーゼルとは思えない感覚が味わえた。この日は従来の4D56型ディーゼルエンジンを搭載したモデルにも同時に試乗したので、新世代ディーゼルの良さが良く分かった。新型トライトンは日本に輸出する予定はないそうだが、良くできたディーゼルエンジンはすぐにでも日本に導入してほしいと思った。『デリカD:5』に搭載すれば商品力は大いに高まるはずだ。実際には、この4N15型エンジンはクリーンディーゼルではあるものの、まだ日本のポスト新長期規制には対応していない。なのですぐに導入することはできないが、大いに期待を持たせるエンジンであった。■5つ星評価パッケージング:★★★インテリア/居住性:★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★★松下宏|自動車評論家1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。