【ホンダ S660 発表】モデューロがめざしたのは「普遍的な大人のスポーツカー」…ホンダアクセス商品企画担当

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ホンダ S660 モデューロ純正アクセサリー装着車
  • ホンダ S660 モデューロ純正アクセサリー装着車
  • ホンダアクセス商品企画部の松岡靖和氏
  • スタイルと機能を両立するアクティブスポイラー
  • SUPER GTのNSXの意匠を取り入れたMR-R01アルミホイール
  • ホンダ S660 モデューロ純正アクセサリー装着車
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  • ホンダ S660 モデューロ純正アクセサリー装着車
  • チタン製シフトノブ

ホンダの新型軽スポーツ『S660』発売に合わせ、モデューロから純正アクセサリーが登場する。内外装だけでなく走りの質をも大きく変えたという新製品の数々。その開発コンセプトは「乗る人の琴線に響く」だという。そこには、素のS660とは異なるユーザーターゲットと、ねらいがあった。

開発に携わったホンダアクセス商品企画部の松岡靖和氏は、開発への想いを「久々のホンダスポーツ。モデューロならではの走りの質と機能を、渾身の力をこめて追求した」と語った。S660が若者からベテランドライバーまで幅広いユーザーに向けた走りの楽しさを主眼に置いたのに対し、モデューロは、「40から50代の大人たちが求める、オープンカーならではの走り、質感、使い勝手」を徹底的に追求した。明確にターゲットを絞り込んだことでおのずとコンセプトも見えてきた。

「大人が欲しくなるクルマ」を作り上げるにあたって最も重視したのは、感性。「クルマの開発現場では数値を重視する傾向があります。だけど、このクルマはとにかくフィーリングを大切にしました。ドライバーがどのように感じるか、いかにハートに響くかという点です」(松岡氏)。エアロパーツ、ホイール、シフトノブからドリンクホルダーに至るまで、全てにおいて大人の感性に訴えかけるものづくりを目指した。

特徴的なのは、軽自動車としては初めて採用された「アクティブスポイラー」だ。通常時はダックテール風に収納され、車速に連動してスポイラーが立ち上がる。これにもこだわりがあった。「止まっているときはスタイリッシュに見せたい。だけど、サーキットでも限界まで攻め込める性能を実現したい。それを両立させているんです。これを採用したのは我々のチャレンジですが、スタイルと機能を両立させるための必然だったんです」(松岡氏)。

アクティブスポイラーを含め、前後バンパーもモデューロが新開発した。カスタムパーツにありがちな「取って付けた感」をなくすこと、そして走行性能をも犠牲にしない。軽自動車サイズ、その中でも小柄なS660という車両の中で、デザインと走行性能を両立させるのは至難のわざだったという。デザインスケッチを描いた上で試作品をつくり、テストドライバー、設計者とともに走行テストに臨んだ。走り込みを経て、リアルタイムに形状を煮詰めていった。「これは通常の車両開発ではできないことです。我々のように小回りが利くメーカーだからこそできたことでしょう」と松岡氏は語る。分業ではなく、チーム一体で作り上げた。だからこそ、この「大人のデザイン」を実現できた。

走りにおいては、エアロパーツによってトーリフトバランスになるよう特性を整えた。さらに旋回性能を向上させ、リニアなフィーリングをインタラクティブにドライバーと車両にフィードバックするようなセッティングとした。さらにホイール、サスペンションは元のS660よりもさらに深さを求め、あらゆる路面で最大のパフォーマンスを発揮出来るものとした。「限界まで攻めても、決してピーキーにならない。大人のベテランドライバーも納得してもらえる走りだと思います。この走りに賛同してくださる若い方がいれば、どんどん乗ってほしいですが」と松岡氏は笑う。

「特にこだわった」と松岡氏が語るのはアルミホイール『MR-R01』だ。そのこだわりは剛性の最適化にあるという。「一般的にホイールは剛性が高ければ高いほど良いと言われます。レーシングカーがサーキットのようなフラットな路面を走るにはそれで良いのですが、(乗用車においては)ホイールの剛性が高すぎると限界領域ではじかれてしまう(踏ん張れない)んです。だからといって剛性を落とすのではなく、公道を走るスポーツカーとして最も良い剛性というのを煮詰めました」。こうした取り組みは業界でも珍しいのだとか。リム、スポークのあらゆる形状を試作し走り込んだ。この開発にあたっては、土屋圭一氏などのプロドライバーのアドバイスも取り入れられているという。

またホイールのデザインは、SUPER GTに参戦する『NSX』の意匠を取り入れ、ホンダスポーツの意思を受継いだ。ステルスブラックと名付けられたカラーも、これまでの純正品質では実現出来なかったものを採用している。「このカラーも今回のトライのひとつです」と松岡氏は自信げに話してくれた。

内外装、走りを含め新たな挑戦が盛り込まれたモデューロのS660向け純正アクセサリー。松岡氏は、「我々のトライアルはこれで終わらせません。アクティブスポイラーのような新技術もどんどん盛り込んでいきたい。今回、S660というエポックメイキングなクルマだからこそできたもの、そのこだわりは積み重ねていかなければ。それがイノベーションになって活きて行くのだと思います」と今後の抱負を語る。

「S660は21世紀のクルマとしての新しさがある。素の性能も極めて高い。だけど我々はそのさらに先、普遍的な価値を持つクルマをめざしました。S660は長く愛されるクルマになるでしょう。だからこそ、我々としても定期的にテコ入れをしていきたいですし、ユーザーと一緒にこのクルマを育てて、もっと幅を広げていけたら良いですね」(松岡氏)

モデューロの純正アクセサリーパーツは、S660の発売と同時に4月2日から全国のホンダカーズで発売となる。

《宮崎壮人》

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