【トヨタ アクア X-URBAN 試乗】大人も似合う? ひとクラス上の上質感と乗り心地…青山尚暉

試乗記 国産車
トヨタ アクア X-URBAN
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コンパクトカークラスの中で2モーターのストロングHVを採用するのが『アクア』。その燃費性能は標準車で37.0km/リットルと圧倒的だ。

そのアクアに新たに加わったのが、流行のSUVテイストをまとったX-URBAN(Xアーバン)である。もちろん、本格SUVではない。最低地上高こそ標準車の140mmから160mmに高められ、クロスオーバーSUVのお約束でもある大径16インチタイヤを履いているものの、基本的にはそのアーバン=「都会的な」のネーミングが示す通り、駆動方式がFFのみの「都会派なんちゃってSUV」である。

しかもこれまたクロスオーバーSUVのお約束装備であるルーフレールはオシャレな埋め込み式で、例えば同種のVW『クロスポロ』のように、前後フェンダーアーチをつなぎSUVの力強さを演出する樹脂モールが装着されるわけでもない。

つまり、SUV風ドレスアップカーというのがアクアXアーバンの真実である。

が、デザイン的には専用フロントグリル、フロントバンパースポイラー、サイドマッドカード、そしてリヤバンパースポイラーまで装着したことで、ひとクラス上の存在感を放っている。「フレックストーン」と称してそれらのパーツカラーをオレンジメタリック、ブルーマイカメタリックに変更できるのも嬉しい(5万4000円のOP)。

さらに内装でもシートが合成皮革+ファブリックとなり、内装色アクセントがテーマカラーのオレンジになるとステッチまでオレンジになるのだから凝っている(写真参照)。

アクアは2015年1月の乗用車販売ランキングで1位というぐらい売れに売れ、街に溢(あふ)れている。しかしXアーバンはたとえアクアの群れの中にいてもひときわ目立つ、個性的な1台に映ることうけあいである。

ただ、SUV風にするため、おそらく開発時点で想定していなかったであろう16インチの大径タイヤを履き(標準車175/65R15 S、Gグレード/Xアーバン175/60R16)、20mm車高を上げ空気抵抗が増した結果、小回り性に直結する最小回転半径は標準車の4.8mから5.4mとなり、モード燃費も標準車の37.0km/リットルから33.8km/リットルになってしまった。最小回転半径5.4mは大型プレミアムSUVの『ハリアーハイブリッド』(4WD)の17インチタイヤ装着車と同じである!

もっとも、33.8km/リットルの燃費性能はコンパクトカーとして依然、ハイレベルなのだが…。

そんなアクアXアーバンを走らせると、運転感覚はほんの少し視界が高く気持ち良く感じられること以外は、“最新の”アクアと変わらない。つまり、『プリウス』にないキビキビした操縦性が特徴で、一方、重心が高く感じられる、なんていうこともない。車重も標準車+10kgでしかないため、加速力も遜色(そんしょく)なしだ。モータートルクが強力なだけに出足からさすがに力強く、トルクのツキがあり、伸びやかに速度を上げていく。

が、久しぶりにアクアに乗り、もっとも感動したのは乗り心地だった。

初期のアクアはコスト重視&燃費スペシャルのコンパクトHVであり、踏面の硬いころがり抵抗重視のタイヤを履いているため、荒れた路面や段差越えでは突き上げ感が大きく、足回りから入ってくる音、振動も大きめだった。当時、『フィットハイブリッド』や『ノート』と比較したが、アクアはそれが弱点でもあったのだ。

しかし“最新の”アクアXアーバンはそれからすると、ずっと快適感ある乗り心地を手に入れている。そう、14年12月のMCでボディー剛性を高め、足回りを改良したからだ。クラスベストか? と言われればそうでもないが、上級感とスタイリッシュさある、大人に似合うアクアXアーバンにもふさわしい乗り味になったと言えるのだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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