【フォード マスタング 試乗】「伝統」と「変革」のほどよいバランス…森野恭行

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フォード マスタング 50イヤーズ エディション
  • フォード マスタング 50イヤーズ エディション
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6代目の見どころは、「伝統」と「変革」のほどよいバランスだろう。『マスタング』のDNAを明確に主張するスタイルは、大柄なボディサイズとも相まって、アメリカンスペシャルティに期待する迫力や威圧感を表現しているし、質感を大幅に高めたインテリアも、期待に違わない魅力的な仕上がりだ。さらに、古くからのファンには「ファストバック」の呼称も懐かしく耳に響くはず。新型が、いかに「伝統」を大切にしているかがわかる。

で、こんどは「変革」の部分に注目すると、象徴的なのはリジッドから独立式に変更されたリヤサスと、ダウンサイジングターボのトレンドに乗った直噴ターボの2.3リットル直4ユニットの存在だ。独懸の導入については諸手を挙げて賛成で、「パフォーマンスパッケージ」を標準採用する「50イヤーズ エディション」は、攻めのコーナリングも楽しめる確かなハンドリング性能と、安心してハイウェイをかっ飛ばせる高度な高速スタビリティを両立させている。

255/40ZR19サイズの高性能サマータイヤを履くことを考えれば、乗り心地も十分合格点に達している。欧州などの海外市場にも打って出る戦略車だけに、気合いを入れて6代目の開発をしたことがうかがわれる。

しかし、4気筒ターボの心臓については、少しの物足りなさも感じる。314馬力/44.3kgmが生む速さやゆとりは文句のないレベルにあるが、日常のシーンにおけるワイルドさの演出がやや控えめな印象なのだ。低回転域のトルクのツキがより鋭くなり、そこに迫力あるサウンドが加われば、エコブースト搭載の新世代マスタングの走りはさらに輝きを増すことだろう。

ということで、いかにもマッスルカーらしい、いい意味でのワイルドさを求める人には、5リットルV8を積む「GT」の上陸を待つことをお薦めする。ちなみに、50周年記念車は「左ハン」だが、あとから入るモデルは「右ハン」のみの可能性が強く、その点でもファンはきっと大いに悩むことになる。加えてコンバーチブルという選択肢もあるのだから、今選ぶのか、ちょっと待つのかは、じつに悩ましい問題だ。

■5つ星評価
パッケージ:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

森野恭行|カーレポーター
生来のクルマ好きで、スモールカーから高級サルーン、高性能スポーツカー、はたまた2~3t積みトラックまで、機会があればどんなクルマでもとことん試乗。クルマの個性や魅力、そして開発者が担当モデルにこめた情熱などを、新車紹介や試乗インプレッションなどを通してわかりやすく伝えることを信条とする。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。1963年生まれ。

《森野恭行》

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