【BMW X6 試乗】世界で成功したクーペ風SUV、その価値は“無駄”にあり…中村孝仁

試乗記 輸入車
BMW X6 xDrive50i
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『X6』がデビューしたのは2009年モデルから。しかし、コンセプトが世にデビューしたのは2007年で、その翌年に生産モデルが登場した。そして今回第2世代のモデルが登場したというわけである。

日本では販売されなかったので、あまり知る人はいないかもしれないが、ホンダはこのX6のデビューから1年おいて、アキュラブランドから『ZDX』というモデルを出している。そのコンセプトもサイズも、実際のスタイルもX6にそっくりだ。しかし、ホンダのそれは失敗に終わり、2013年モデルを最後に生産を中止している。

デトトロイトショーを取材するたびに、アキュラを見てきた僕としては、正直X6も同じ道を辿るのではないかと、想像していた。しかし、今回第2世代誕生を機にいろいろ調べてみると、実はX6は大ヒットモデルだったのだ。

このクルマ、生産はドイツではなくてアメリカだ。BMW USマニファクチャリングカンパニーというところが生産をしており、他にもここからは『X3』、『X4』、『X5』と、BMWのSUV(BMW的にはSAV)すべてが生産され、世界中に送り出されている。その中でもX6の生産は需要に追い付かないほどだというから、コンセプト自体が受け入れられたということになる。

そうなると黙っていないのが、ライバルメーカーたち。BMWによって作り出された市場にポテンシャルがあると見るや、すぐさま反応し、メルセデスは間もなく『GLEクーペ』というモデルをお披露目することになっているし、アウディもこの市場に同じコンセプトのモデルを投入するとされている。

では、先行する第2世代のX6がどのように変わったかというと、これはもう完全なキープコンセプト。正直言って、パッと見はどこが変わったの?という印象すら受けるほど見事に先代を受け継いでいる。まあ、子細に眺めればフロントエンドの造形は違うし、先代ではのっぺりとしていたサイドにくっきりとキャラクターラインが入れられるなど、確かに変化が見て取れる。今回試乗した「xDrive50i」は、エンジンとトランスミッションに関しては従来と同じ4.4リットルツインスクロールターボV8と8速ATの組み合わせ。ただし、先代よりも出力トルクともにおよそ10%ほど向上しているという。

今回は新たにMスポーツが設定されていたが、試乗したのはノーマルのモデル。理由は試乗会にやってきたMスポーツが、なんちゃってMスポーツだったから。顔つきだけMスポーツで中身はノーマルという、言わばミスオーダーでやってきたクルマだったので、敢えてMスポーツは選ばなかった。

さすがに1700mmを超える全高のクルマは、コックピットに上がるのも一苦労だが、今回のモデルは有難いことに僅かながらステップが付いている。これは大いに役立った。インテリアは先代に比べて格段に豪華かつ、質感が高くなっている。パドルシフトも従来のようなプッシュ・プルタイプのパドルではなく、ちゃんとした左右にアップダウンを振り分けたものに変わっている。

また、同じ8速ATでも今回はエコプロモード付き。つまりスポーツ、ノーマル、エコプロなど走行モードが選べる。そして、そのモードに合わせて実はメーターパネルのディスプレイも変化する。エコプロも場合、ディスプレイ全体がブルーの照明となり、タコメーターの表示が消えて、チャージ状態かもしくはパワーをかけた状態かが表示される。一方スポーツモードでは照明が赤になり、スピードメーターにはデジタル表示が。そしてタコメーターの文字が大きくなる。そしてノーマルモードでは普段アナログメーターで見慣れたBMW伝統の表示方式で表示されるといった具合だ。つまり、メーターがアナログから、ディスプレイ表示に変わっているのだ。

今時、V8ツインターボは稀少モデルの部類に入り、イメージとしてはやはりガソリンを食うという印象が支配的になる。当然エンジンをかけるとドスの効いたV8サウンドで目覚め、実に滑らかに、そして静々と動いていく。ただし、どう考えてもガソリンは垂れ流している。

450ps/650Nmの目覚めも当然味わってみたいから、広いところで一気にひと踏み。すると、さすがというべきか、呆れるほどの力でクルマをグイグイと加速する。それも乾燥重量2270kgのクルマをだ。そしてやはり驚かされるのが、その重さにして車高1705mm、十分に重心が高いはずのクルマをまるでスポーツカーよろしくひらりひらりと動かすことが出来るのだから、さすがに走りをチューンさせたら自信たっぷりのBMWらしい運動性能である。

リアシートなど決してゆとりのあるものではないし、ラゲッジスペースだってスロープしたルーフに邪魔されるから、天地方向の使い勝手は良くない。しかしそうした敢えて行う無駄が、X6の存在価値を高めているのかもしれない。だから、市場がある。

パッケージング ★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
《中村 孝仁》

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