【ポルシェ 911 GT3 試乗】硬派な走り屋には、5ツ星でオススメしたい…吉田匠

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ポルシェ 911 GT3
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ポルシェ『911』には昔から、通常のモデルとは別に、そのままサーキットも走れるような硬派な高性能モデルが存在した。空冷エンジン時代には「カレラRS」がそれだったが、水冷エンジン搭載車になってからは「GT3」の車名を与えられているのがそれだ。

これは水冷911の最初の世代であるタイプ996時代の1999年に初めて登場、それ以降996とその次の997に前期型と後期型の2世代、合計4世代のGT3が生み出された。それらはいずれも、通常のカレラ系とは別物の、マニアの間で通称「GT1クランクケース」と呼ばれる空冷エンジンと同形式の剛性の高いクランクケースを備える、レースにも使える適性を持った水平対向6気筒を自然吸気のままハイチューンして搭載、それに専用の6段MTを組み合わせ、車高を低めてサスペンションを固めたモデルだった。

ところが911の最新モデル、タイプ991のGT3は、それらとは多くの点が異なる。エンジンが空冷クランスケース型ではなく、最新のカレラ系と同じ構造の直噴ユニットに変わり、トランスミッションもツインクラッチ式2ペダルの7段PDKに変わったのだ。

さて、その乗り味はどうかと新型GT3のコクピットに収まって走り出すと、まず乗り心地がこれまでのGT3よりソフトで、街乗りでも普通に乗れる快適さなのを実感。しかもエンジンは2000rpm以下から充分なトルクを出すし、トランスミッションは2ペダルだから、使おうと思えば痩せ我慢なしに毎日の足にも使えるクルマに仕上がっている。

だいぶ大人しくなったなと思いつつ高速に乗り、料金所からの発進で深めにスロットルを踏み込んだら、GT3は途端に牙を剥きだした。3.8リットルから475ps/8250rpmを絞り出し、0-100km/hを3.5秒で加速、最高速315km/hに達する高性能車だけに凄まじい勢いでスピードを上げていくし、全開をくれた時のエンジン音も猛烈に刺激的ときている!

しかも箱根に到着してワインディングを攻めたら、ハンドリングがまた痛快だった。ステアリング操作に対するクルマの反応がカレラ系より明らかに素早く、コーナーの連続をリズミカルに駆け抜けていくし、さらに攻め込んでいくとタイトコーナーではお尻がムズムズッと張り出しそうになる気配を感じさせるのも、好き者には堪らない。

つまり新型GT3、誰にでも薦めたくなるクルマではないが、飛び切りスパルタンな911が欲しいという硬派な走り屋には、5ツ星でオススメしたいモデルだといえる。ただし1900万円オーバーのGT3、すでに予定の販売台数はすべて売約済、という噂もあるが…。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

吉田匠│モータージャーナリスト
1971年、青山学院大学卒業と同時に自動車専門誌『CAR GRAPHIC』の編集記者としてニ玄社に入社。1985年、同社を円満退社、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。1989年以来、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。『僕の恋人がカニ目になってから』(ニ玄社)、『男は黙ってスポーツカー』『ポルシェ911全仕事』『男は笑ってスポーツセダン』(双葉社)など、著書多数。

《吉田匠》

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