『RC300h』のF SPORTの車重は1740kgで、前後軸重は870 / 870kg。ラゲッジスペースルーム床下にハイブリッド駆動用バッテリーを積むこともあり、このバランスが実現されている。
その走りは、非常にスムースでありながら力強い印象だ。もちろん“EVドライブモード”でエンジンには火を入れずに走行可能だから、上品にしとやかな発進、走行が可能。さらにエンジンが加われば、ごく普通に動力性能の高いクルマとして走らせていられる。
“ドライブモードセレクト”で特性を切り替えることも可能で、変速に繋ぎ目がないのは当然として、エンジンのオン/オフの場面でも気になるショックがないのがいい。ハイブリッド車の経験が深いトヨタらしく、洗練されたマナーと、より高性能なガソリン車にも遜色なしの爽快な走りを実現している。
試乗車は前後異サイズのタイヤ(前:235/40R19 92Y、後:265/35R19 94Y)を装着していたが、乗り味も非常に上質。ステアリングもいたずらにシャープ過ぎず、街中でも速度を上げた状態でも、しっとりとした感触と反応だ。全体として、個性を主張するクーペボディを心地よく楽しむのに相応しい走りに仕上げられている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。