スバル入魂の『レヴォーグ』である。走りはもちろん、インテリアもエクステリアも徹底的にやりました! と言うけれど、ちょっと待った。インテリアは、もう一声がんばって欲しいの思うのは、きっと私だけではないだろう。
インテリアのデザインも使う素材も好みの問題といわれればそれまでだが、シフトレバー周辺のデザインとかETCカードケースのむき出し無骨さとかは、なんとかなりそうなものだ。走りを追求する男の汗ほとばしる風情はスバルらしいけれど、もう少し垢抜けて欲しかった。
日本の道に合わせた専用モデルと銘打ったわりに、全幅は1780mmと、大きくなりすぎたと言われるレガシィ5代目(最終モデル)と同じ大きさ。全長は10cm短くなったけれど、それでも4代目よりは長い。クルマ好き、スバル好きはこの数字に納得してくれるのかもしれないが、正直なところ周囲の一般ピープルには説明しづらい。エクステリアのデザインで、締まって見えるけれど、日本の道に合わせたとこれで言っていいものなのか?
乗り込んでみると車内は広くゆったりとした空間。左側のボディサイドまでの距離があり車幅感覚に一瞬ひるむものの、運転席からの視界は良好で周囲の状況がよくわかる。こういう部分は“安全の基本は視界から”というスバルのこだわりが表現されているところだといえる。
きちんととれるドライビングポジションによって操作を開始すると、その素直な動きにちょっと運転がうまくなった気分だ。4WDは安定感もあるのだが、それ以上に感じるのは後ろ足、つまり後輪が確実に働いているということだ。ハンドルをきると、向きを変えるのは前輪だけだが、レヴォーグの場合、それによって作り出された重心の動きを絶妙なタイミングと動作で支えてくれる。ハンドルをきった方向に向かって、くっと蹴りこんでくるような感覚なのだ。
スピードスケート選手の動きを思い浮かべてもらうとわかりやすいかも。コーナリングをするときに、外側の足でぐっとインに向かって蹴るあの感じ。後ろのタイヤがインへと向けてくれる分、クルマは安定し、速度をキープしながらきれいにライントレースができるというわけだ。
1.6リットルエンジンのトルクは、1800回転からマックスになるけれど、その少し手前から急激に上がっているので、速度ゼロからのスタート加速はとても滑らかで使いやすい。逆に、2リットルエンジンだと2000回転でマックスになるため、ここに入ったとたん、ぐぐっと強烈に加速し始めてちょっと荒っぽい感じが残る。
突然ターボががつん、というのは好きな人はいいけれど、その境界線があまりにもはっきりしているため、アクセルコントロールが戸惑ったりして。お薦めは、だんぜん、1.6リットルである。ガソリンがレギュラーというのも、高く評価したい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。