カワサキ『エストレヤ』は、空冷250cc単気筒エンジンを積むロードバイクだ。スタイリングこそレトロチックで、その点でマニアックであっても、最高出力18psなだけに、お手軽モデルといったイメージをお持ちの方も多いのではないだろうか。でも、エストレヤは走りもしっかりマニアックで、日常的に使うことにスポーツ性を見出すことができる。その意味で、バイクの原点を思わせるのである。その魅力の一つが、片側40度という大きいハンドル切れ角である。それはオフロードバイクに近く、今のオンロードバイクとしては破格の大きさである。路地裏の狭い道で小回りが効くだけではない。コーナーの入り口でステアリングを切れ込ませてから、寝かし込んでいくという基本を学ぶことができ、街中のタイトなコーナーでスポーツできる。ハンドルの切れ角を生かすことがエストレアの魅力を引き出し、楽しむことにもなるのだ。しかも、この新型は、コーナリングでの荷重変化にも、サスペンションが高次元に働いてくれる。コーナーの奥まで突っ込んで、小さく短時間で向きを変え、リヤにトラクションを掛けていく過程において、適正に姿勢変化。現在のレーシングマシンのコーナリングの方向性が実現されていると言って差し支えない。後輪の17インチに対し、前輪は18インチ。こうした車体構成も、ステアリングの動きを大きいリズムで見守ることのできるレトロチックな走りを、生み出すのに貢献している。もちろん、エンジンも魅力的である。単気筒の鼓動が伝わるも、不快な振動がなくメカノイズも小さいから、その鼓動はより鮮明に届く。そればかりか、粘りがあって、扱いやすいから、低回転域でのトコトコ走りを楽しむことができるし、スロットルワークでステアリングに働きかけることもできる。4~6000rpmといった中回転域で、街中をストレスなく流せることができ、たとえ最高出力18psであっても、8500rpmからのレッドゾーンに向かって吹き上がる爽快感もある。バランサー軸が設けられたエンジンは、高回転域でも快適だ。何より、足着き性は大変に良好で、上体はほぼ直立。伝統的な自然体のライポジは、日常的に使うバイクにとって嬉しい。1992年に登場した長寿モデルでもあるエストレア。2007年に燃料噴射化され、この2014年型は3度目の節目となるモデルだが、基本は初代型から引き継がれている。それだけ、このエストレアは、時代によって左右されない普遍的な魅力を備えているのである。
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