多くが生まれては消えていったEVベンチャーの中で、テスラだけは別世界にいる。事業として非常に順調な背景には、有能な経営陣の手腕もあるだろうが、大前提として商品が非常に優れていることがある。テスラの第2弾として登場した「モデルS」は、完全オリジナル設計の大柄サルーンだが、いきなりこれほど完成度の高いクルマが出来上がったことを不思議に思わずにいられない。欧州NEDCモードで500kmに達したEVの常識を覆す長い走行可能距離や、ガソリンエンジンでいうと6リッター級の実力を持つ強力な動力性能などは、もちろん大いにインパクトはあるが、極端なことをやれば今の技術でもできないことはないだろうからまだわかる。それよりも驚かされたのはシャシー性能だ。他の自動車メーカーが長年苦労して手に入れてきた走りをすでに実現している。レイアウトの自由度の高いEVであることを考慮しても、誕生からわずか10年あまりのベンチャーがイチから手がけたクルマで、いったいどういうプロセスを経ればここまでのものができたのだろうか?むろん特殊なクルマなので、一般の人が触れることのできるチャンスは限られるだろうが、ぜひ積極的に機会をつくって、できるだけ多くの人がこの感覚を味わってみるよう勧めたい。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★岡本幸一郎|モータージャーナリスト1968年 富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。カテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅し、プライベートでもこれまでプライベートでもスポーツカーと高級サルーンを中心に25台の愛車を乗り継いできた。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
テスラ『サイバートラック』専用ホイール、超新星の爆発波に着想…米Unplugged Performance 2025年9月11日 アンプラグドパフォーマンス(Unplugged Performance)は9月8日…