2013年10月19日に開催された三菱ふそうのジャーナリスト向けの試乗会において、2011年の東日本大震災の支援車両として、ドイツのダイムラーグループから贈られた車両の走りに接することができた。
「2011年の震災のとき、三菱ふそうとダイムラーグループとして何ができるのかと考えました。被災地では車両が不足していると聞きましたので、支援のために車両を寄贈することにしました」と、三菱ふそうの広報担当者は、当時の対応を説明してくれた。
寄贈された車両は合計50台。その内訳は、三菱ふそうから小型トラック『キャンター』を30台、ダイムラーからオフロードトラック、メルセデス・ベンツ『ゼトロス』8台、多目的作業車メルセデス・ベンツ『ウニモグ』4台、オフロード車メルセデス・ベンツ『Gクラス』8台であった。
このうち、ゼトロス、ウニモグ、Gクラスの計20台はドイツ・シュツットガルト空港からチャーターされた2機の輸送機にて2011年4月中旬に空輸されたものだ。これらの車両は、急遽、集められたものであるため、渡河仕様やNATO軍仕様、中古車など、仕様がバラバラであった。また、そのほとんどが日本の排気ガス規制に対応していなかったため、特別に2年間だけの限定の仮ナンバーが発行されて運用されることになったのだ。
こうしてドイツから送られてきた車両は、日本財団に一括して寄贈され、そこから現地で活躍するNGOや自治体に貸し出された。そして、高いオフロード性能を生かし、被災地においてがれきの撤去や物資輸送などに大活躍したという。
「震災から1年くらいたつと一段落しましたが、それから開催された復興イベントでは、子どもに人気になったようです。こうした車両を欲しいという人もいました」と三菱ふそうの広報担当者。
もともと日本仕様であった小型トラック、キャンターは、そのまま寄贈となったが、ドイツからきた20台は、2013年4月に、2年限定の仮ナンバーの期限が終了となった。
「最初、期限が過ぎたら全車スクラップにする予定でした。しかし、震災の活躍の記念として、いくつかの車両が残されることになりました」
保管は、三菱ふそうの研究所と石川県の日本自動車博物館にゼトロス、ウニモグ、Gクラスをそれぞれ1台ずつ。メルセデスベンツ・ジャパンにGクラスを1台。都合、合計7台が記念として残されたのだ。また、それ以外の13台は船便でドイツに送り返される。その後は未定だがシュツットガルトにあるメルセデス・ベンツ・ミュージアムに展示されることも検討されているという。ドイツからの支援があったことを忘れないためにも、保存・公開はぜひとも実施されてほしいものだ。