福岡で開催されたスマートモビリティアジア2013。燃料電池車のキーパーソンが集まった講演で、本田技術研究所の守谷隆史氏は「燃料電池車は単に走るだけでなく、走る以外の魅力を出せるのか、次の技術の中で考慮しなければならない」と強調した。
講演の中で守谷氏は「電気や水素を使った電動車は、家庭やスマートコミュニティにつながってくる可能性がある」とした上で、スライドでは実際に『FCXクラリティ』で発電した電気をエコハウスに給電する北九州市の実証実験を示し「家の先にある電力網につながったとき、1000台の車を入れるとどういう効果があるのかを見せるような試験を行っている」と紹介した。
燃料電池実用化推進協議会のロードマップと重ねて考えると、FCV・ステーションの自立拡大や、ガソリン車と燃料電池車の利用コストが同水準程度になる本格普及期が2025年以降になるとみられることから、この時期を目指して取り組みを進める。
守谷氏は「この2025年を一般の方に認識してもらうことが非常に重要で、これによって循環が上手くいく。我々は2015年に燃料電池車を出しますが、2025年に向けてはコストに加えて、燃料電池車ならではの魅力を出さなければならない。今の車にない魅力を訴求していくために、インフラの部分では手を組まなくていけないので非常に密度の濃い開発を行っている」と明かした。
講演のまとめとして、守谷氏「CO2の削減やエネルギーセキュリティの観点から自動車は電動化が加速していくことが考えられます。電気と水素は親和性が高く、キャリアとして上手く使うとエネルギーの中に入っていく可能性を秘めている」と話した。