上越線二つの顔…地域輸送を担う普通列車と都市間物流を担う貨物列車[写真蔵]

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上越線は旅客列車だけでなく貨物列車も運転されている。都市間物流を担う上越線の隠れた主役だ。(上越線塩沢~六日町)
  • 上越線は旅客列車だけでなく貨物列車も運転されている。都市間物流を担う上越線の隠れた主役だ。(上越線塩沢~六日町)
  • 高崎駅で発車を待つ水上行き普通列車。群馬県側の上越線は普通列車がおおむね1時間前後の間隔で運転されている。
  • 上越線は群馬県と新潟県の県境にほど近い水上駅で運転系統が分かれており、この駅で長岡行き普通列車(左)に乗り換える。
  • 水上発17時43分の長岡行き普通列車の車内。5月30日の乗客は水上駅発車時点でわずか6人。最後尾の車両には誰も乗っていなかった。
  • 上越国境を抜ける新清水トンネル内に設けられた土合駅の下りホーム。週末は登山客でややにぎわうものの、平日の利用者はほとんどいない。
  • 新潟県側の上越線普通列車は2両編成で運転されているものもある。幹線鉄道というよりはローカル線の風情だ。(上越線塩沢~六日町)
  • 水上駅に進入する下り貨物列車。2車体連結の超大型電気機関車で、その出力も4520kWと強力だ。
  • 水田に映えるコンテナ車20両編成の上り貨物列車。東海道新幹線の16両編成とほぼ同じ長さのため、あらかじめ画角をよく考えて撮影しないと写真のように最後尾が切れてしまうほどだ。(上越線塩沢~六日町)
群馬県と新潟県を結ぶ上越線は、かつては東京と新潟など日本海側の主要都市を結ぶ幹線鉄道として重要な役割を担っていたが、1982年の上越新幹線開業で都市間輸送の特急列車や急行列車のほとんどが廃止された。

2013年6月現在、平日の昼行特急列車の運転本数(定期列車のみ)は、上野・新宿~前橋間の「あかぎ」が下り6本・上り5本、上野~万座・鹿沢口間の「草津」が2往復、越後湯沢~金沢・福井・和倉温泉間の「はくたか」が14往復。いずれも一部区間のみ上越線に乗り入れているだけで、全線を走破する特急は夜行の寝台列車「あけぼの」1往復だけだ。

現在は地域輸送を担う普通列車が上越線の主力列車だが、運転本数は多いとはいえない。群馬県側は高崎線や両毛線、吾妻線からの直通がある高崎~新前橋~渋川間こそ比較的多いものの、渋川~水上間は1日19往復だけで、昼間はおおむね1時間前後の間隔だ。新潟県側も、ほくほく線や飯山線から乗り入れている普通列車を除くと、1日15往復程度となっている。

県境部の水上~越後中里間に至っては、1日わずか5往復の普通列車しか運転されていない。5月30日、この区間を走る水上発17時43分の長岡行き(3両編成)に乗車してみたが、水上駅を発車した時点の乗客はわずか6人だった。

車掌に尋ねたところ、週末は登山客や観光客で混雑するものの、平日はだいたいこんなものだという。1本あたりの輸送人員を6人とし、その全員が水上~越後中里間を通して乗ると仮定した場合、この区間における1日1kmあたりの平均輸送人員(輸送密度)は60人ということになる。

2012年3月にJR東日本が廃止の方針を発表した岩手県の岩泉線は、2009年度の輸送密度が46人で、それよりは若干多い程度だ。週末の増加分を考慮しても、鉄道の経営を維持できる水準には達していないと思われる。

とはいえ、上越線の県境区間が廃止されることは、まずないだろう。旅客列車の運行本数や利用者は確かに少ないが、他に貨物列車が1日10往復運転されている。10往復といっても約20両のコンテナ車で編成を組んでいるから、その輸送量はかなり大きい。

運転区間は梶ヶ谷貨物ターミナル(川崎市)~札幌貨物ターミナル間や隅田川(東京都荒川区)~新潟貨物ターミナル間、名古屋貨物ターミナル~秋田貨物間などで、上越線を全線走破して太平洋側と日本海側の主要都市を結んでいる。物流の面においては、今でも都市間輸送を担う重要な幹線鉄道だ。

上越線の貨物列車は一時期、そのほとんどが深夜帯に通過していたが、2009年3月のダイヤ改正で一部の貨物列車が昼間に通過するようになり、明るい時間に貨物列車を見ることができるようになった。長大なコンテナ車編成を超大型の電気機関車が引っ張る姿は、都市間物流の「力強さ」を感じさせてくれる。
《草町義和》

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