以前、『206』に乗っていた私としては、『207』で大きく立派になってしまい、プジョーはいったいどこへ向かっているのか不安だっだ。
しかし、『208』。サイズダウンして可愛らしくなり、ああ、もどってきてくれたとほっと胸をなでおろしている。衝突安全とか車内空間充実とか肥大化する理由はあるんだろうけれど、コンパクトカー好きには、やっぱり「コンパクト」でなくっちゃね。
女性ユーザーをとりもどすべく小さくなったボディは、デザインにもその目的意識が強く現れている。かわいい。顔つきといい、ぷりっとしたヒップラインといい、女子が理屈抜きに好む小動物を連想させるかわいさがある。
このボディサイズだというのに1.6Lというオーバースペック気味のエンジンは、当然ながら車体をぐいぐいと前へと加速させる。軽い。ハンドルの小ささがクイックな操作へとつながり、余計に軽くて軽快に感じさせている。当然、脳内に広がるのはパリの小径をきゅっと走る乙女な姿だ。女性なら、ほぼ全員が憧れるであろうこの光景。
しかし、燃費の数字を見たとたん現実へひきもどされる。JC08モードで13.4km/リットル。国産同クラスの半分である。いくらなんでも悪すぎるのではないか。パリの小径気分を味わえるのだから、そんな数字を気にしてはいけないのかもしれないけれど、でも、なんだか納得できない日本人の私である。
■ 5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。