【日産 リーフ 試乗】走行中に震災本震…千葉匠

試乗記 国産車
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東日本大震災の本震のとき、筆者は日産『リーフ』の試乗中だった。横浜の日産本社から高速で三浦半島を南下。観音崎で折り返し、また高速を経て逗子から一般道で鎌倉に向かう途中、信号機が消えていて異変に気付いた。後から想えば不思議なことに、あのあたりでも震度5強だったはずの揺れを走行中の車内ではまったく感じなかったのだ。

まもなく急速充電器のあるガソリンスタンドに着いたが、停電で充電不可。ポンプが動かずガソリンも給油できないから、停電は電気自動車だけの弱みではないと知った。

日産本社までは30km近くある。航続可能距離は58kmと表示されているが、念のためにそこからはエアコンOFF、エコモードで節電走行。高速が閉鎖されており、一般道を走る。横浜に近づくにつれ渋滞が激しくなった。

しかし結果的にゴール時点での航続可能距離は40km。一般道のほうが距離が短かったせいもあるが、節電走行も効いた。表示によればエアコンONだったら残りの航続距離は29kmで、“電欠”にヒヤヒヤしたかもしれない。

もうひとつ、電気自動車は車速が低いほうが経済的だし、加減速の多い街中では減速時にエネルギー回生し、さらに停車中はほとんど電気を消費しないということもある。

行きの高速では周囲の流れに乗るペースで走ったが、スタートからの通算電費は5.5km/kWh。リーフのバッテリー容量は24kWhだから132kmしか走れない。しかしゴール時点では、それが6.5km/kWhまで伸びていた。これなら航続距離は156kmだ。後半の一般道区間だけなら、「JC08モードで200km」というカタログ数値に近い電費だったと推測できる。

起動トルクの大きい電気モーターだが、リーフでは飛び出し感を避けるため発進時のトルクを抑制しているので、普通にアクセルを踏み込む範囲での発進加速は1.5リットルのガソリン車と同等の印象。一方、高速のランプ合流では中間加速の力強さを感じた。

もちろん静かさと変速のない滑らかさは電気自動車ならではだが、30分も走ると身体がそれに慣れてしまい、電気自動車に乗っていることを忘れそうになる。いや、ガソリン車と同じ感覚で乗れるのは大事なことだと思うけどね。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

千葉匠│デザインジャーナリスト
1954年東京生まれ。千葉大学で工業デザインを専攻。商用車メーカーのデザイナー、カーデザイン専門誌の編集部を経て88年からフリーのデザインジャーナリスト。COTY選考委員、Auto Color Award 審査委員長、東海大学非常勤講師、AJAJ理事。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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