【池原照雄の単眼複眼】日産 リーフ、混流ラインでフル量産へ

エコカー EV
混流ラインで組み立てられるリーフ
  • 混流ラインで組み立てられるリーフ
  • 混流ラインで組み立てられるリーフ
  • バッテリーパックの組付工程
  • モーターとインバーターの組付工程
  • 追浜工場のリーフ生産ライン
  • 充電器の搭載工程
  • 同ラインではキューブ、ジューク、ノートも生産する
  • リーフのパワートレーン
◆速めのラインでも遅滞なく

日産自動車が25日、電気自動車(EV)『リーフ』を生産する追浜工場(神奈川県横須賀市)を報道陣に公開した。リーフはガソリン車3モデルとともに混流生産されており、EVだからといって特別なラインをしつらえたわけではない。

日産は3月には現状の能力である年5万台にほぼ近いフル生産ペースにもっていく計画であり、EVが既存のラインで既存のクルマとともに柔軟に生産できる技術を構築する。

追浜工場は、月産2万台規模の組立ラインを2本擁しており、リーフは第1工場で小型ミニバンの『キューブ』、同SUVの『ジューク』、コンパクト2BOXの『ノート』と混流生産されている。ライン公開日は7~8台に1台の割合でリーフが流れていた。

このラインから完成車がはきだされる「生産タクト」は60秒であり、小型車のラインとしてはやや速めのスピードだ。そのスピードのなかで、リーフはライン全体に遅滞を及ぼすことなく流れている。


◆ガソリン車との相似部品を同じ場所で組み付ける

EVは、ガソリン車のエンジンやミッション、さらに排気システムなどがないものの、代わってバッテリーやモーターあるいはインバーター、家庭電源から充電するための普通充電器などを搭載する。

クルマを構成する主要コンポーネンツが、がらりと変わるわけだが、組立コストを抑制するには、既存モデルとの混流生産が必須の条件となる。追浜工場でも「最初から混流しか考えなかった」(本田聖二工場長)という。

新たにEVを生産機種に加えるには、ほかのモデルを流すスピードを乱すことなく、同期化を図る必要がある。だが、本田工場長は「ガソリン車との作業編成のバランスを取るためにサブラインを工夫したものの、そう苦労はしなかった」と話す。ガソリン車同士でも同じタクトで混流させるには作業編成に手間取るケースがあり、それと大差ない印象だったという。

実際のラインでは、ガソリン車の燃料タンクを組み付ける工程でEVはバッテリーパックを、またエンジンとアクスルを一体にして組み付ける工程でEVではモーター、インバーターおよびアクスルを一体にして取り付けるようにしている。相似部品を同じ場所で組み付けることで、作業員にも違和感はなさそう。


◆「空洞化工場」のイメージくつがえす

ラインサイドでは、カルソニックカンセイによるコックピット(ステアリングコラムや計器類を組み込んだダッシュボード)の同期生産が行われている。こちらも、EV用のコックピットが、他のモデルのものと同じラインタクトで整然と組み立てられていた。

追浜でのリーフは、昨年10月下旬に1号車がラインオフされ、徐々に生産量を高めてきた。3月までの2010年度は1万台の生産計画だが、生産担当の酒井寿治常務執行役員は「その計画には沿っているし、11年度には能力の年5万台がフルに発揮できるよう対応していきたい」と述べた。

日産は12年以降、米国と欧州で相次いでリーフの組み立てやバッテリーの生産に着手し、15年までにグローバルで年25万台のEV生産を目指す。追浜はその際、マザー工場の役目を担うだけに、当面はフル生産への移行が重要なタスクとなる。

昨年、同工場の屋台骨だった『マーチ』がタイやインドに移管されたため、「空洞化工場」のイメージが強いものの、生産開始から今年で半世紀を迎える日産最古の組立工場は、最先端の環境モデル生産拠点として活気を取り戻しつつあった。
《池原照雄》

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