ホンダ『CR-Z』をベース車に、ホンダアクセスが東京オートサロン2011に出品した『TS-1X』。開発の狙いについて「スポーツカーとしてここまでできるということを証明したかった」と同車の開発担当者は語る。
「TS-1Xでは、路面にうねりやギャップなどが存在する一般公道での走行を想定して、車両の安定性やハンドリング性能を追求するため開発を進めました。外観では、エアロパーツの採用により空力特性で前後50:50のリフトバランスを目指しており、目に見えないボディ構造の部分でもパフォーマンスロッドを採用してボディ剛性を高めてあります」(同担当者)
特に注目なのは、エアロパーツにF1で採用された「Fダクト」と同じような構造をもつダクトが採用されているところ。
「通常、ハッチバック車の後端では空気の渦が発生して、車両の抵抗やリア荷重がリフトする方向となります。今回エアロパーツに採用したダクトでは、流速の速い気流を作り出し車両後端の空気の流れを整えることで、スポイラーの効果をより引き出しリア荷重の安定性を高めることを狙っています」(同担当者)
その効果については「実際の走行実験でも吸入口に蓋を閉めた状態とあけた状態で比べたところ、その効果を確認しています。スポイラーが左右で分かれているのもデザインだけではなく、スポイラーの効果を調節するためにわけてあるのです」と同担当者は語る。
F1では最高速を延ばすためのものであった「Fダクト」を、空気抵抗の低減とリア荷重の安定に活用したわけだ。
ハイブリッドスポーツを提案したCR-Zではあるが、「スポーツカーといってもルックスだけではないか」との批判が主に海外メディアからあったといい、これに反論し、スポーツカーであることを証明するために開発されたのがTS-1Xだ。
市販化については、「今回の出展では実験車両となっていますが、いずれ一般の方に乗っていただきたいと思っております」(同担当者)とのこと。