ハイパフォーマンスの象徴 BMW “M”〜その系譜を辿る

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BMW M
  • BMW M
  • BMW M1 プロカー(1979年)
  • 初代BMW M3(E30型、1987年)
  • BMW M3 DTM(E30型、1991年)
  • BMW M3クーペ(E36型、1992年)
  • BMW M3クーペ(E36型、1992年)
  • BMW M3クーペ(E46型、2000年)
  • BMW M3クーペ(E46型、2000年)

M1に始まる“M”モデルの系譜

BMWの超高性能モデルである「Mモデル」の開発・設計を行っているのが『BMW M社(BMW M GmbH)』だ。

現在はBMWグループの一員として「M スポーツ」や「BMW インディビジュアル」の開発、そしてドライバートレーニング等を担当するが、その前身である「BMW Motorsport GmbH」は、その名の通りBMWのモータースポーツ部門として1972年にスタート。1970年代には赤・紫・青のストライプをまとったワークスマシンをサーキットに送り出し、その技術を市販車にフィードバックしたのが「Mモデル」の始まりだ。

「M」の名を最初に冠したモデルは、1978年に発表されたBMW初のミッドシップスポーツ『M1』だ。その後はM1譲りの3.5リットル直6を搭載した『M635CSi』(1983年)や初代『M5』(E28型、1985年)等がリリースされたが、1986年にはMモデルで初の4気筒エンジン車となる初代M3(E30型)が登場する。

◆熱狂的な支持を獲得した初代M3

初代M3はツーリングカーレースで当時主流だったグループAのホモロゲーション取得用に企画された市販モデルだったが、これが世界中から熱狂的な支持を獲得。1991年の生産中止までにはM3カブリオレを含めて約1万8000台を生産する大ヒット車となった。

高性能スポーツモデルとしての評価を確立したM3は、2代目(E36型、1992年)で初めて6気筒エンジンを搭載し、初代を大幅に上回る約7万2000台を販売。その人気は3代目M3(E46型、2000年)でも衰えず、生産台数は前作をさらに上回る8万5000台に上った。こうした販売面での大きな成功は、真のクルマ好きを対象にしたハイパフォーマンスカーとしては異例であった。そして2007年にはV型8気筒エンジンを搭載した4代目M3に進化する。

一方、もう一つの代表車種であるM5も着実に進化を遂げ、2004年にはM社が誇るF1エンジン直系のテクノロジーを投入した5リットルV型10気筒エンジンを搭載する4代目M5(E60型)が登場。また、1998年にはMクーペやMロードスターといった新しいMモデルも登場しており、2008年には全Mモデルの累計販売台数が30万台に達している。

◆「BMW EfficientDynamics」の理念を取り込んだ最新“M”

そして2010年現在、Mモデルのラインナップは『ニューM3クーペ』『M3セダン』『M6』『M6 カブリオレ』『X5 M』『X6 M』の計6モデルとなっている。いずれも「よりクリーンに、よりパワーを。(BMW EfficientDynamics)」の理念に基づき、高効率のパワートレイン、アイドリング・ストップ・システム、マイクロ・ハイブリッド・テクノロジー(ブレーキ・エネルギー回生システム)、軽量樹脂製ボディ・パーツといった最先端の環境技術が投入されたモデルだ。

2007年にデビューしその後も数々の改良や意匠の変更が施された現行M3は、最大出力309kW(420ps)、最大トルク400Nm(40.8kgm)を発揮する4リットルV8エンジンを搭載。ボディタイプには2ドアクーペと4ドアセダンがあり、変速機には6速MTと7速ダブル・クラッチ・トランスミッション(7速 M DCT ドライブロジック)が用意されている。

2005年に登場したM6クーペと翌年加わったM6カブリオレは、M5と同じV10エンジンを搭載。最大出力373kW(507ps)、最大トルク520Nm(53.0kgm)を誇るこのF1直系のエンジンは「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー」を4年連続で受賞した名機であり、現在その官能的なV10サウンドが聞けるモデルはこのM6のみとなっている。組み合わされる変速機は7速SMG ドライブロジックだ。

Mモデル初の4WDモデルとして2009年に登場したX5 MとX6 Mは、最大出力408kW(555ps)、最大トルク680Nm(69.3kgm)を発揮する4.4リットルV8ツイン・スクロール・ツイン・ターボ(M ツインパワー・ターボ)エンジンを搭載する。両モデルとも最新モデルは減速エネルギーを電力に変換するマイクロ・ハイブリッド・テクノロジー(ブレーキ・エネルギー回生システム)」を採用し、環境性能を一段と強化しているのが特徴だ。

見たように、これまでのMは他車の追随を許さない圧倒的なパフォーマンスを発揮してきた一方で、時代の変化に柔軟に対応して安全性そして環境性能といった相反する要素を両立させてきた。“M”のエンブレムはこれからも自動車ファンを熱くさせてくれる存在であり続けるだろう。


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《丹羽圭@DAYS》

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