【池原照雄の単眼複眼】「変革」の向かう先を照らす東京モーターショー

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寂しいローカルショーか?

41回目となる「東京モーターショー2009」(一般公開は10月23日から11月4日)は、世界的な自動車産業の苦境を受け、海外の量産メーカー出展がゼロとなった。では、寂しいローカルショーになるのだろうか? 否、出展規模の縮小とは裏腹に海外企業を含む業界関係者には、従来以上に注目せざるを得ないショーとなりそうだ。

日本メーカーがあらゆるセグメントで先頭を走る環境対応技術の最新動向を探るには、必見のイベントだからだ。まさに「先進技術の方向性を示す東京モーターショーの重要性はいささかも変わりない」(日本自動車工業会の青木哲会長)ということになる。

今回のワールドプレミア(世界初公開)車両は2輪、カロッツェリアを含めて39台。前回の77台からほぼ半減となるが、出展社数が半分を下回っていることを勘案すれば、見劣りするレベルではない。

◆先端を走る「環境」を前面に

6日までに発表された日本メーカー各社の出展概要を見ると、いずれも「環境」を前面に打ち出した内容となっている。とくに、日本企業が量産化で世界の先陣を切ってきたハイブリッド車(HV)と電気自動車(EV)の充実ぶりが目立つ。

ホンダは、来年早々に投入予定のスポーツHV『CR-Z』の「コンセプト2009」を初公開する。前回2007年のショーに初登場したが、発売を目前にして、ほぼ量産モデルと同一の姿が提示される。HVでは6人乗りのミニバンとなる『SKYDECK』(スカイデッキ)も出展する。

EVの開発も加速してきたホンダは、『EV-N』としてコンセプトを提示する。軽乗用車の初代『N360』(1967年)をモチーフにしたデザインだ。トヨタ自動車は『iQ』より小さいEV 『FT-EV II』を初公開する。EVは都市内などの近距離移動手段と位置づける両社の開発方針に沿ったクルマとなる。

◆スズキ、スバルもHVの本格展開をアピール

今年、EVの量産化に着手した三菱自動車工業は、当面の普及ではEVより本命視されるプラグインHV(PHV)の『三菱コンセプトPX-MiEV』が目玉だ。SUVタイプであり、ハイブリッドシステムはエンジンを発電のみに使うシリーズ式。EVの弱点である航続距離の不安を解消、燃費も1リットル当たり50km以上を実現するという。

PHVではスズキもシリーズ式の『スイフト・プラグイン・ハイブリッド』を初公開する。また、トヨタとHV技術を共同開発している富士重工業は『スバル・ハイブリッド・ツアラー・コンセプト』を出展し、両社ともHVモデルの本格展開をアピールすることになる。

地球環境保全や石油エネルギーの制約から、クルマづくりは「100年に1度の変革期」(豊田章男トヨタ社長)というのが自動車業界の共通認識となっている。今年の東京モーターショーは、さまざまな角度からその変革が向かう先を照らし出すイベントとなろう。

《池原照雄》

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