【神尾寿のアンプラグド特別編】拡大するタクシーのFeliCa決済

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広がるタクシーのFeliCa決済対応

3月26日、日本交通(日本交通グループ)と国際自動車(kmグループ)が、東日本旅客鉄道(JR東日本)、ジェーシービー、NTTドコモ、三井住友カードと協力してタクシーへの非接触IC「FeliCa」を用いた決済方式の導入を実施すると発表した。

今回、日本交通と国際自動車が導入するFeliCa決済は、JR東日本が推進する「Suica電子マネー」、JCBおよびトヨタファイナンスが中心となって推進する「QUICPay」、三井住友カードとNTTドコモが推進する「iD」の3方式。首都圏を中心に営業する約5800台(日本交通:約3000台、国際自動車:約2800台)がまずSuica電子マネーに対応し、2008年秋以降、QUICPayとiDにも対応するという段取りになる。

Suica電子マネーは首都圏の“交通系電子マネー”としてJR・私鉄・地下鉄各線で広く普及しており、それがタクシーにも展開する形だ。一方、QUICPayはトヨタファイナンス、iDはNTTドコモが中心となって利用者が急増しており、3方式対応後はFeliCa決済利用率のさらなる向上も見込める。ユーザー視点でも、タクシーが電車のように「カードやケータイをかざすだけで乗れる」ようになるのは便利だろう。

タクシーのFeliCa決済対応は首都圏を中心に急速な広がりを見せており、すでに神奈中ハイヤー(QUICPay)、ANZEN Group(Edy)、飛鳥交通グループ(Edy)、中央無線タクシー(Edy)、東京無線協同組合(iD)、日の丸交通(QUICPay / iD)などが導入済み。首都圏以外でも、沖縄県の沖東交通(Edy)や北九州市の八幡タクシー(iD)、愛媛県松山市のいよてつタクシー(ICい〜カード)などに対応している。

FeliCa決済は、クレジットカード決済のように利用ごとにオンライン認証をする必要がないため、手軽かつ迅速な決済ができるのがメリット。タクシー業界内でも、事業者間の競争の激しい都市部から、FeliCa決済導入に注目する動きが活発化している。

FeliCa決済導入で、成功する事業者も現れ始めている。

この分野の嚆矢である沖縄の沖東交通グループは、2006年8月に所有する小型タクシー355台すべてにEdyを導入。車体にEdyのロゴや表示灯を掲げるなどし、利用促進に勤めた。

「沖縄はタクシーの数が多く、供給過剰。(タクシー会社にとって)競争環境が激しいんですよ。その中でEdyの広がりをみて、タクシーでも顧客の囲い込みになるのではないか、という考えから導入しました」(沖東交通グループ常務理事の東江一成氏)

沖縄は全国的に見てEdyの利用率が高く、さらに全日本空輸(ANA)がEdyを用いたキャンペーンに積極的なこともあり、沖東交通の認知度が向上。これらは他社との差別化要因となった。特に効果の実感は、無線呼び出し件数の増加に表れたという。

「沖縄では『陸マイラー』が多いので、Edyマイルによる囲い込みや集客効果に期待しています。これはEdyだけが要因とは言い切れないのですが、無線呼び出しの件数が右肩上がりで伸びてきています」(東江氏)

◆拡張機能の利用も始まる。今後の注目は交通IC連携か

FeliCaの決済機能のみならず、「付加価値」的なマーケティング機能を利用するタクシー会社も現れた。

中央無線タクシーではグループの2,500台でEdyを導入しているが、2007年からEdyのCRM機能のひとつ「Edyハッピー優待」を利用。1か月に4回以上、同社のタクシーに乗車し、Edy決済をすると500円分のEdyギフトをキャッシュバックするサービスを行っている。

「2007年に開始した『Edyハッピー優待』の効果は大きいですね。このサービスの開始後、(タクシーにおけるEdy決済の)利用件数の増加ペースが上がり、今では1日に800件以上のEdy利用があります。また(中央無線での)Edy利用者の平均単価は1500〜1600円と、全体の平均単価よりやや高めの傾向になっている。

首都圏で見れば、タクシーの(FeliCa決済による)電子マネー対応は広がってきています。そうなりますと、単にEdyに対応しているだけでは、(中央無線の)サービスの差、優位性となる部分がなくなってしまう。Edyハッピー優待の活用は、タクシーの電子マネー対応が進む中で、他社との差別化の要素として重要です」(中央無線グループ 昭栄自動車社長の武居利春氏)

タクシー業界は、規制緩和後の過当競争や、最近の原油高による燃料コストの上昇、さらにドライバーの高齢化や人件費高騰で、厳しい競争環境におかれている。このような中で目先の利くタクシー会社は、「お客様に選ばれるタクシー会社を目指さないと生き残れない」(武居氏)とサービス改善に注力している。そのひとつが、FeliCa決済による利便性向上と、それをベースにしたCRMツールの活用だ。

今後を俯瞰すれば、すでに全国レベルでの相互利用化が進むSuicaなど交通系FeliCa電子マネー(交通IC)との連携や、トヨタファイナンスなどロードサイドに強いカード会社のFeliCaクレジットへの対応などが注目といえるだろう。ロードサイドビジネスの観点からも、「タクシーのFeliCa決済対応」の動きは重要になりそうだ。

《神尾寿》

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