【D視点】アウディ TT、攻守に活躍

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 クリーンヒットの後は凡打が安全

アウディの願望であったプレミアムカーメーカーへの足がかりとなった初代TTクーペだが、新型TTクーペで如何なる使命を与えられたのか。

初代TTクーペの意表を突いたような個性が実現できたのは、このモデルがアウディの新しい車型であり社内の興味の外にあったことが想像される。ヒットしたモデルには、メーカーの主力モデルでないなど、様々な要因で社内の干渉が少ない自由な環境で開発され例は多い。

デザインで大評判のモデルの次期型のデザイナーは、当初、担当できる幸運に有頂天になる。しかし実際のデザインワークでは、デザインを変えれば変わりすぎていて危険だと言われ、変らなければ才能がないといわれるなど多くの干渉を受けることになり、時には与えられたチャンスを恨むことになる。

これが好評モデルの次期型開発の一般的なパターンであり、新型TTクーペのデザイナーとて逃れることはできない。

このような状況でデザイナーが取りうる最良の方法は、「ヒットの後は凡打が安全」と心に決めて、無理をせず社内コンセンサスをうまく取り入れることだ。

好評な初代のデザインを残しながら、細部をプレミアムカーらしい味付けで変化を付けた新型TTクーペのデザインから担当デザイナーの沈着さを伺うことができる。コンパクトスポーツカーには似合わないアウディの大口グリルを付けたのも、社内の喝采を狙った心憎い気配りなのであろう。

アウディがプレミアムカーメーカーになるための“攻め”の役割が初代TTクーペであり、プレミアムカーメーカーのポジションを“守る”のが新型TTクーペの役割であるとみると、新型のデザインを理解し易い。しかし、社内的には上手くいっても、ユーザーにとって新型が魅力的に映るかどうかは別問題であり、デザインすることの難しさである。

D視点:デザインの視点
筆者:松井孝晏(まつい・たかやす)---東京造形大学教授、デザインジャーナリスト。元日産のデザイナーで、社会現象となった『Be-1』をプロデュースした。

《松井孝晏》

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