ライバル「インターナビ」に大差
5月の大型連休を控え、カーテレマティクスをめぐる動きが活発化する。トヨタ自動車が近く、『G-BOOK ALPHA』の料金体系などを抜本的に見直すというのだ。昨年4月に緊急時の機能などを大幅に高め、「ALPHA」シリーズに刷新したが思うように普及していない。そこで、普及の障害を取り除くカイゼンに動くもので、トヨタが打ち出す新サービス内容に注目だ。
国内のカーテレマティクス2大勢力のG-BOOKとホンダの「インターナビ・プレミアムクラブ」は、ともに2002年10月にサービスを開始した。両社によると直近の普及はG-BOOKの14万台に対し、インターナビは32万台。新車販売ではトヨタがホンダの2倍強に達していることを勘案すると、G-BOOKの不振が浮き彫りになる。
◆無料プランも登場?
ふたつのテレマティクスは、機能のプライオリティを別の方向に置いた。G-BOOKが当初のエンターテインメントからALPHAでの「安心・安全」へと広げて行ったのに対し、インターナビは名称の通り一貫してナビゲーション機能のレベルアップに取り組んできた。
会員のクルマが交通状況のモニターになるフローティングカーシステムを自動車メーカーのシステムとしては世界に先駆けて導入、精度の高いルート案内を提供している。都心などの一部地域では車線ごとの渋滞案内も出せるようになった。
インターナビはすでに料金(会費)も無料にしている。対応する純正カーナビを選択すれば、負担は携帯電話の通話料だけという分かりやすさも受けているようだ。G-BOOKの場合は一部サービスを除き新車購入初年度のみ無料。2年目以降や中途加入の場合、専用通信モジュール「DCM」のパケット使い放題プランで年1万2000円、携帯電話利用で年3600円となっている。今回の見直しでは一部で無料プランが打ち出される公算が強い。
◆フローティングシステムも検討
また、携帯電話による接続ではBluetooth(ブルートゥース)機能の携帯あるいはアダプターが必要となっているのもネック。この解消にも、何らかの手が打たれそうだ。
一方、中期的にはナビゲーション機能の向上にも取り組む。すでに、1年前のALPHAへのバージョンアップでVICS情報と過去の統計データから最適ルートを案内する「Gルート検索」を導入している。
トヨタ関係筋によると、ナビ機能では来年以降のフローティングシステム採用も視野に入れた検討を行っているという。G-BOOKは、トヨタ車だけでなくダイハツ、マツダ、富士重工業(スバル)といったファミリーの存在もあり、料金の見直しや一連の機能向上で普及が加速すれば「一気」という展開もある。