◆回すほどに気持ちいい新型4気筒
これぞ4発だ! スロットルを開けると、そのまま高回転へ向かってよどみなく一気に伸びていく。回転が上がるほど力強さが増し、パワーが盛り上がってくる。
【詳細画像】ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch
明確な境目などない。どこかを境に性格がガラリと変わるのではなく、低回転から高回転までよどみなく、伸びやかな加速が続いていくのだ。
先代と比べると、ミドルレンジまでのトルク感は若干薄いものの、車体重量が14kgも軽くなったことで、実際の加速感に物足りなさは感じない。スロットルレスポンスが鋭く、何よりも6000rpmを過ぎてからのトップエンドまでの伸びやかな爽快感がたまらなくいい!
ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch回転が上昇するほどエンジンが生き生きとしてきて、1万2000rpm超まで一気に吹け上がっていく。これこそ、直列4気筒エンジンの醍醐味だ!!
2022年に惜しまれつつ生産を終了したホンダ『CB400スーパーフォア』が、ついに新世代モデルとして帰ってきた。その進化を確かめるべく、公道でじっくりと試乗した。
◆単なる後継機ではない
ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch
完全新作となる直列4気筒エンジンは、先代と同じボア×ストロークを採用している。従来型を象徴するものといえば、やはりハイパーVTECだろう。回転数やスロットル開度に応じて2バルブから4バルブへ切り替わり、パワーフィールだけでなく排気音まで変化する。
あの「切り替わった」という瞬間的な“キャラ変”は、歴代スーフォアを語るうえで欠かせない魅力だった。しかし新型には、ハイパーVTECのような可変バルブ機構は採用されていない。
開発責任者の中村拓郎氏が「単なる後継機ではなく、いまの時代に合わせて作り直した」と強調するのも納得がいく。
ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch 開発責任者の中村拓郎氏新型ではダウンドラフト吸気を採用し、スロットルバイワイヤを導入。さらにライディングモードを備え、電子制御によってエンジンのキャラクターを変えられるようになった。
普段の街乗りでは穏やかに、ワインディングではよりスポーティに。電子制御によって乗り手が求めるキャラクターを選べるようになっている。
◆濡れた路面でも自在に操れるEクラッチ
ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutchそして、新型CB400スーパーフォアを語るうえで、もうひとつ外せないのが標準装備されたEクラッチ(Honda E-Clutch)だ。
発進するときも停止するときも、クラッチレバーに触れる必要がない。1速に入れてスロットルを開ければ、違和感なく車体が動き出す。半クラッチからシームレスにつながり、クラッチミートの瞬間をほとんど意識させない。
普通に走行しているぶんには、文句のつけようがない。そこで、どこかにアラはないものかと、少し意地悪なテストをしてみた。さまざまな路面で、Uターンを何度も繰り返したのだ。
試乗した日は雨が降ったり止んだり。路面も濡れていたり乾いていたりと、コンディションが刻々と変化していた。舗装路はもちろん、ダートや砂利の駐車場まで場所を変え、しつこいほどUターンを試した。
それでもクラッチミートは、じつに自然だった。濡れた路面でアクセルを乱暴に開け、リアタイヤがズルッと滑りそうになった瞬間には、トラクションコントロールがさりげなく介入する。
ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch唐突にトルクを絞られるような感覚ではなく、車体の動きを乱さない範囲でスッと助けてくれる。リアタイヤの駆動力を半クラッチで巧みにコントロールしているような感覚もあり、低速でのUターンでも車体を安心して操ることができた。
Eクラッチとトラクションコントロールの連携が見事で、余計な介入を感じさせない。
しかも、クラッチレバーを使いたくなれば、従来どおり手動で操作できる。レバーに入力した瞬間にEクラッチがオフとなり、完全なマニュアルミッションとして走らせることも可能だ。必要なときだけ自分でクラッチを操れる、この自由度の高さもありがたい。
クラッチ操作から解放されることで、街中や渋滞では左手の負担を抑えられる。それでいて、ワインディングなどで自分の意思でクラッチを操りたくなったときには、すぐにマニュアル操作へ移れる。判断はライダーに委ねられ、状況に応じて自由に使い分けられるところがとてもいい。
◆車体も一から刷新
ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutchエンジンだけではない。新型は車体も大きく生まれ変わった。フロントにはKYB製φ41mm倒立フォーク、リアにはプロリンク式モノショックを採用。先代までのツインショックから大きく車体構成を変えている。
車体重量は187kg。先代(NC42)から14kgも軽くなった。またがって最初に感じるのは、この数字以上の身軽さだ。
重量物を車体の中心へ集めるマスの集中化が図られ、低速域では車体を自在に操っている感覚がより強く得られる。停車状態から車体を引き起こすときや、押し引きするとき、狭い場所で向きを変えるときも気軽に扱える。
足つき性もいい。シート高は780mmで、数値だけなら先代より高くなった。ところが実際に着座してみると、サスペンションが自然に沈み込み、シート前端も細く絞り込まれているため足を真っ直ぐ下へおろせて、両足のカカトまでベッタリと地面につく。
ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch車体が軽いことも手伝って、Uターンなど低速でバランスを取る場面でも気負わずに済む。レーンチェンジでも車体の向きを軽快に変え、コーナー進入では素直に車体を寝かし込んでいける。
先代はフロントタイヤが路面をしっかり捉え、前後17インチならではのネットリとした安定感があった。落ち着いていて、安心して旋回していけるハンドリングだ。
対して新型は、ヒラヒラとした軽快性が際立つ。速度域に関係なく、行きたい方向へスッと車体を向けていく。コーナーアプローチでも、「さあ曲がるぞ」と身構えるような必要はない。
積極的に大きく身体を使わなくても、ライダーのちょっとした入力に車体が素早く反応してくれる。思い描いたラインへバイクを持っていきやすく、ワインディングではコーナーからコーナーへテンポよくつないでいける。
◆昔のCBを現代風にしただけじゃない
ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutchデザインも歴代モデルをそのまま現代風に焼き直したものではない。タンクからサイドカバー、テールへと連なるボディは、面の抑揚を効かせた立体的なフォルムに生まれ変わった。
それでも、ひと目でCB400スーパーフォアだと分かる。丸型ケースのLEDヘッドライトは、誰もが思い浮かべるCBの顔つきを受け継いでいるし、リアには丸形2連LEDテールランプを備え、スラントしたテールカウルによってスポーティな印象を強めた。
テーパー状のハンドルバーや5インチのフルカラーTFTメーターを含め、全体としては「昔ながらのCB」ではなく、「今の時代のCB400スーパーフォア」という佇まいだ。
ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutchメーターの表示デザインは「バー」「サークル」「シンプル」の3種類から選択でき、背景色もホワイトとブラックを用意。周囲の明るさに応じて自動で切り替わるモードも備えている。
ライディングモードは「スタンダード」「スポーツ」「アーバン」の3種。エンジン出力、トルクコントロール、エンジンブレーキの特性をそれぞれ変更できる。選択したモードはメーターディスプレイにイラストで表示されるため、走行中でも現在の設定をひと目で確認できるのがいい。
普段は「スタンダード」で穏やかに走り、ワインディングでは「スポーツ」へ。雨で路面が濡れている時など、安心感を高めたいときには「アーバン」を選ぶ。走る場所や気分に合わせて、エンジンのキャラクターを手軽に変えられる。
◆よくぞやった! 100万円切りのロープライス
ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutchダウンドラフト吸気を採用しながら、フューエルタンク容量は15リットルを確保。燃費はWMTCモードで23.1km/リットルなので、満タンでの航続距離は300kmを超える計算だ。
4気筒をブン回す楽しさ、Eクラッチによる気軽さ、軽量な車体がもたらす扱いやすさ、そして現代の電子制御が生み出す安心感。それらをひとつに凝縮した新しいCB400スーパーフォア。車両本体価格は99万8800円という破格とも言えるバーゲンプライスで、年間計画販売台数4600台に対して発売後早くも2700台を受注。売れ行き好調なのも、納得がいくぞ!
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。
ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutchと青木タカオ









