BMWグループは、ハンガリーのデブレツェン工場で新型BMW『iX3』の量産を10月末に開始すると発表した。
同工場は同社の世界的な生産ネットワークにおける最新かつ最も革新的な製造施設として正式に稼働を開始する。
新型iX3は、BMWの次世代電動車プラットフォーム「ノイエクラッセ」の第1弾モデルとなる。ノイエクラッセの技術は2027年までに40の新モデルとモデル更新に搭載される予定だ。
デブレツェン工場は「BMW iFACTORY」のコンセプトを完全に実装している。同工場は設計段階からデジタル化され、2023年3月にはバーチャル工場で仮想的な生産開始を祝った。この手法により、すべての工程を事前に仮想的にテストし、デジタルツインと同じように生産ラインを建物内に設置することが可能になった。
環境面では大きな進歩を遂げている。新型iX3の生産では、総CO2排出量が約80kg CO2eとなり、既存のBMW車種と比較して約3分の2の削減を実現する。デブレツェン工場単体では、高電圧バッテリーを含む車両製造時のCO2排出量を約90%削減し、約34kg CO2eまで抑制する。
同工場は通常運転時に再生可能エネルギー源からの電力のみで稼働するBMWグループ初の自動車工場となる。石油やガスなどの化石燃料は使用しない。50ヘクタールの敷地内太陽光発電システムが工場の年間電力需要の約4分の1を供給する。余剰太陽エネルギーは容量130MWhの1800立方メートルの蓄熱システムに貯蔵される。
塗装工場では熱回収システムを採用し、最大10%の追加エネルギー節約を実現している。この革新的なコンセプトは、圧縮空気供給、乾燥炉、冷却システムからの効率的なエネルギー回収のための複数の対策を組み合わせている。
生産プロセスの完全デジタル化により、組立効率がさらに向上している。BMWグループが社内開発したAIQX(人工知能品質ネクスト)ITプラットフォームがBMW iFACTORYの重要な構成要素となっている。AIQXは生産ライン沿いのセンサーとカメラシステムを使用して品質プロセスを自動化し、AIがデータを評価してライン上の従業員にリアルタイムでフィードバックを提供する。
デブレツェン工場は、世界5工場で第6世代高電圧バッテリーの量産を開始する最初の工場となる。「ローカル・フォー・ローカル」の原則に従い、高電圧バッテリーの組立は現地で直接行われ、生産チームはインフラ効率と短距離輸送の利点を活用できる。
同工場は特定の主要工場に縛られない同社ネットワーク初の生産拠点として、世界各地のベストプラクティスを組み合わせている。現在2000人を超える従業員が世界ネットワーク内で訓練を受けることができ、中国、南アフリカ、メキシコ、米国、ドイツなど異なる拠点の従業員ノウハウを共有している。