燃料電池観光バスのテスト開始、水素満タンで最大800km走行可能…ダイムラーバス傘下の「セトラ」初

セトラブランド初となる水素燃料電池駆動の観光バス「H2コーチ」のテスト車両
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ダイムラーバスは9月9日、セトラブランド初となる水素燃料電池駆動の観光バス「H2コーチ」のテスト走行を開始したと発表した。

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この技術実証車両は、バッテリー電気バスに加えて、地域での排出ガスゼロを実現する長距離観光バス旅行の未来への道筋を示すものだ。ダイムラーバスは2030年代末までにバッテリー電気バスをポートフォリオに加え、次のステップで燃料電池バスの量産化を計画している。

H2コーチの技術は、親会社ダイムラートラックのメルセデスベンツGenH2トラック燃料電池トラックの駆動コンポーネントを活用している。水素満タン時の航続距離は最低800kmとしている。

全長13.9mのハイデッカー型車両「S517HD」の心臓部は、総タンク容量46kgの2つの水素タンクとセルセントリック燃料電池ユニットの組み合わせだ。ダイムラートラックはボルボグループと共に、セルセントリック合弁事業により世界有数の燃料電池メーカーを目指し、2050年までの持続可能な輸送への決定的な貢献を追求している。

総出力300kWの燃料電池ユニットが水素を電気エネルギーに変換し、中央モーターによって機械的駆動エネルギーに変換される。電気モーターは連続出力320kW、最大出力400kWで設計され、トルクはそれぞれ1368Nmと2470Nmを発揮する。統合バッテリーパックは電気エネルギーを一時的に蓄積し、燃料電池を最適効率で動作させるための状況的電力サポートを提供する。

車両総重量24.7tのS517HDをH2コーチに改造した車両は、TUVレポートに基づき、ドイツ道路交通車両使用許可規則第19.6条に従ってテスト車両として承認されている。これにより、ダイムラーバスの社内テストグラウンドでのテストシリーズに加えて、公道でのテスト走行も可能となった。

ゼロエミッション駆動技術を搭載したセトラコンフォートクラスコンセプトバスは、低騒音駆動システムを持つだけでなく、都市部や観光地の大気質改善にも大きく貢献するため、ディーゼル車両の有望な代替手段となる。バッテリー電気バスと比較して、より長い航続距離と短い給油時間も特徴だ。

この技術実証車両は、ダイムラーバスのノイウルム拠点で開発されている。同拠点はあらゆる駆動タイプのバスのコンピテンスセンターで、約3800人の従業員が中央機能、開発、バス生産に従事している。

《森脇稔》

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