駅前のロータリー、いわゆる交通広場に発着するバスは、ロータリーというように広場の外周に沿って時計回りに走行し、発着するのが普通だ。ところが広場の内部に円形の大きな“島”を作って、その周囲を反時計回りに走行し、発着するバスターミナルが少数ある。
駅前広場に乗り入れるバスの本数が多い大規模な交通結節点では、広場の内部に鉄道のプラットホームのようなバースを設ける例が多い。このバスが発着する島を、大きな円形(より正確には正多角形)にして、その周囲にバス停を配置することがある。この場合、バスは広場を反時計回りに走行することになる。
円形アイランドバースの例は、編集部で調べた範囲で、東から船橋駅前(千葉県船橋市)、浜松駅前(浜松市)、浜大津駅前(滋賀県大津市)、神戸駅前(神戸市)にある。
おもに京成バス千葉ウエストが発着する船橋駅北口は、八角形・8バース。浜松駅北口の浜松駅バスターミナルは16角形・16バースという大規模なもので、おもに遠州鉄道のバスが発着する。京阪電鉄浜大津駅前の「びわ湖浜大津」バス乗り場は六角形で、江若交通のバスが乗り場2バース+降り場1バースを使用している。JR神戸駅北口の「神戸駅前」バス乗り場は、八角形で乗り場6バース+降り場2バースが設定され、おもに神戸市営バスが発着する。
船橋駅北口の円形アイランドバース円形アイランドバースの利点としては、まず「広場内の安全性向上」(京成バス千葉ウエスト)がある。アイランドには路線バスのみ乗り入れることや、プラットホーム型アイランドのように、バスの進路を旅客が横断することがない。そのため「接触事故のリスクが低いと感じている」(京成バス千葉ウエスト)という。また「乗車と降車が同じ場所で行なえる」(遠州鉄道)など、効率的な乗り場運用が可能だ。
京成バス千葉ウエストは、「円滑な車両の取り回し」も利点に挙げる。バスが縦列に停車する場合、発着の際に前後のバスを避ける必要がある。円形アイランドバースだと、その際の旋回角度が比較的小さく、大型車両でも無理のない進入・退出が可能だ。浜松駅バスターミナルのように大型になると、この利点は薄れると思われる。
欠点としては旅客導線の高低差が発生することが挙げられる。「船橋駅改札より歩く場合、アイランドまで昇って降りることが必要」(京成バス千葉ウエスト)、「地下道による立体交差を設けているが、初めて利用する人には分かりづらい場合がある」(遠州鉄道)。
もっとも、駅出入口とアイランドを平面交差の横断歩道でつなぐことは可能で、プラットホーム型アイランドでも新宿駅西口(工事中)や横浜駅西口のように地下道経由で上下する例もあり、円形アイランドゆえの欠点とは言いきれない。むしろ階段・エスカレーター・エレベーターといった立体交差を、アイランド内の1か所に集約することができるので、平面移動と比べれば困難は増すが、他のアクセス方式と比べたら利点と言っていいのではないだろうか。










