先ごろ累積販売台数270万台を超えた『XC60』が、歴代ボルボ車のベストセラーとなった。ではそれまでは?というと、あの『240』シリーズがその座にあった。

1974年から1993年にかけて生産された『240』は、本国スウェーデン・イエテボリのトースランダ工場で最後の1台がラインオフするまで、実に19年、268万5171台が生産されている。

この240シリーズは、1972年にボルボが発表した“ボルボ・エクスペリメンタル・セーフティカー=VESC”をもとに誕生。クルマそのものは前身の「140」を発展させたもので、ドア断面の厚みを特徴としたスクエアなボディスタイルをもち、フロントグリルやランプまわりなどディテールの変化は見られたものの、最後まで一貫して変わらないスタイルだった。

セダンはクリーンな6ライトのキャビンで構成、ワゴンは前後方向に長さのあるリヤクォーターウインドゥと、後ろ下がりの窓枠からセダンと共通であることがわかるリヤドアを採用していた。
そのほかにベルトーネが手がけたクーペや、エクストラシートにより7名乗車を可能にしたリムジンタイプなどの用意もあった。

安全性に関しては、自重の6倍以上の荷重に耐えるというケージ構造、万一の衝突時に前後からの衝撃を吸収する設計など。後期型では側面衝突に対応したSIPS(Side Impact Protection System)も装備した。

キャビン4隅のピラーを運転席から見た時に目と目の幅より狭くなる設計、ステアリングのコラプシブル機構、エアバッグとプリテンショナー付きシートベルトなども。ワゴンには、急ブレーキの際に荷物が前方に投げ出されるのを防ぐスチール製のガードネットも用意された。