ホンダ『CR-V』の燃料電池車「e:FCEV」が、米国コロラド州で開催される「パイクスピーク国際ヒルクライム2025」に水素燃料電池車として初めて参戦する。
6月22日に決勝レースが行われるこの伝統的なレースで、『CR-V e:FCEV』はエキシビションクラスに出場する。ドライバーは、パイクスピーククラス優勝者で2度のフォーミュラドリフトチャンピオンの吉原大二郎氏が務める。
参戦車両は、ホンダ・オブ・アメリカ・レースチーム(HART)、ホンダR&D日本、ホンダレーシング・コーポレーション・USA(HRC US)のエンジニアが準備を担当。市販車からの改造は最小限に抑え、1インチローダウンサスペンション、レーシングブレーキパッド、軽量18インチホイール、ヨコハマ製アドバンA052タイヤの装着にとどめている。

CR-V e:FCEVは、オハイオ州マリーズビルのホンダ・パフォーマンス・マニュファクチャリング・センター(PMC)で手作業により製造されている。アメリカで製造される唯一の燃料電池電気乗用車であり、水素燃料電池とプラグインハイブリッド技術を組み合わせた初の車両でもある。
車両には第2世代ホンダ燃料電池システムが搭載され、ミシガン州の燃料電池システム製造会社(FCSM)で生産されている。フロントマウント単一モーター、17.7kWhバッテリーパック、2つの高圧水素タンクを備える。
レース中の水素燃料補給は、ゼロ・エミッション・インダストリーズ(ZEI)が提供する。同社の新しいFTcaseは、機内持ち込み手荷物程度のサイズの携帯型水素燃料補給ソリューションで、あらゆるガス状水素供給を完全な水素燃料ステーションに変換できる。

「雲への競争」として知られるパイクスピーク国際ヒルクライムは、標高4301mの頂上を目指すアメリカで最も長い歴史を持つモータースポーツ競技の一つ。1916年から続くこのレースは、標高2862mから始まる156のカーブを持つ19.99kmの山岳コースで行われる。
市販車のCR-V e:FCEVは、EPA認定航続距離270マイル(約435km)を実現し、174hpのパワー、229lb-ftのトルクを発生する。現在カリフォルニア州でリース販売されており、第2世代ホンダ燃料電池システムの初の応用例として、従来世代と比較して耐久性、効率性、洗練性の向上とコスト削減を実現している。
ホンダとしては高級車ブランドのアキュラとしても同ヒルクライムに参戦。こちらはHRC USとタッグを組み、競争の激しいタイムアタック1(TA1)部門に『インテグラ』の「タイプS DE5」レースカーで参戦する。インテグラを操縦するのは、インディカーとIMSAのベテランドライバー、キャサリン・レッグ選手だ。