ボルボやXPENGのBEVミニバン、長城汽車の高性能オフロードなど、新型車が続々…広州モーターショー2023

ボルボ EM90(広州モーターショー2023)
  • ボルボ EM90(広州モーターショー2023)
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  • ボルボブース(広州モーターショー2023)

広州モーターショー2023(第21回 広州国際自動車展)が11月17日に開幕した。年内最後の中国大型モーターショーとして、初披露の新型車だけでなく、次年に向けた市販化が間近な車種の発表が多いのが特徴だ。4月に開催された上海モーターショーに続く国際モーターショーであり、日本においてもとりわけ中国ブランド車の新動向を把握できる機会として自動車業界からの注目が高い。

事前の主催者発表によると、今年の展示面積は22万平方mで従来と大きく変わらないが、ワールドプレミアムモデルは59台(うちグローバルブランドモデル8台)、コンセプトモデル(概念車)が20台(同9台)、新エネルギー車が469台(同119台)となり、総展示車種は1132台に達した。

本記事では、筆者が注目する市販化が間近な新型車を中心に、その特徴をまとめていく。


◆新トレンドとなるBEVミニバン…ボルボ EM90、Li Auto MEGA、XPENG X9

ボルボは新型のBEVラージミニバンである『EM90』をワールドプレミアした。印象的なのは、フロントがクローズドグリルとバンパーが一体となったデザインで、シンプルながら豪華さも併せ持つ。フロントからサイドに伸びるクロムメッキの底部に洗練されたイメージを受ける。一方で、ピラーは全て明るめの黒色で、その他の装飾はない。また、後部はテールランプが個性的で、いま流行りのLEDを一直線に流した鋭いデザインではなく、一世代前の少し懐かしい親しみやすさがあるようなデザイン。これは、後続車等からの視認性、安全性を意識した結果ではないかと思われる。

ボルボ EM90

安全装備は、運転支援システムが内蔵され、HDカメラ、パノラマカメラ、ミリ波レーダー、超音波センサーなどを含むソフトウェアとセンサーが組み合わされている。ボディに関しても、高強度ケージ式車体デザインを採用し、車体にボロン鋼を含む多種の高強度鋼材を採用することで、事故の衝突による損傷を効果的に軽減するという。キャビンの周囲に複数のエアバッグを配置し、乗客の安全を大幅に向上させた。

車室内のデザインは実用的な印象だ。インパネまわりからセンターコンソールに掛けては面積が大きく、凹凸感があり、豪華さがある。スマートフォンのワイヤレス充電パネルの表面にベルベット処理を採用し、シフトレバーには水晶装飾を使用して、多くの場所に実木竹紋透光装飾板を採用している。ミニバンとしてのシートレイアウトは、前後のサスペンション、内部構造の重要な部分のサイズを最適化し、より広いキャビン幅と足のスペースを持つという。2列目のシートは折り返しのテーブルプレート、カップホルダーおよびシートの換気・加熱、複数のマッサージモードと複数の角度調節が可能。その2列目シートのスライドレール長を1100mmとし、3列目の乗降を容易にした。3列目のシートバックは後ろに平らに置くことができるが、4つのフルサイズのゴルフバッグを収容することができるほどの広さだ。

動力は最大出力200kw、CLTC(中国基準走行モード)航続距離738kmで、双方向の充電機能にも対応しており、他のBEV(最大6.6kw)や電気器具(最大3.3kw)への充電にも対応。販売価格は81.8万元で、外観からもその大きさを感じるが、風抵抗係数は0.270Cdと低く、プレミアムなデイリーユースの最適な一台としての選択もできる。

また、中国の新興ブランドのLi Auto(理想汽車)、XPENG(小鵬)も共に新型ミニバンを発表した。Li Auto『MEGA』は今回のモーターショーで初披露し、ブラインドオーダーを開始した。来年1月末に納車を予定しており、販売価格は60万元程度ではないかとされている。全体的なデザインは、こちらも非常にシンプルかつ機能的で空気抵抗を低減するような外観である。サイドは船の尾に似ていて、次第に内側にシャープになる。一体型のDピラーとルーフがつながっているデザインに合わせて、後部の気流を調整し、バランスを高めているようだ。風抵抗係数は0.215Cdであり、クーペタイプレベル。テールは2色のデザインを採用して、こちらも威圧感がないシンプルなものとなっている。

Li Auto/理想汽車 MEGA

車室内は、フロントはHUDヘッドアップ、OLEDセンターコントロール、助手席エンターテインメントスクリーンなどが搭載される。運転補助では、Pro版にHorizon Journey 5を搭載し、NOAは高速道路をカバーしている(Max版にはデュアルNVIDIA Orin-xを搭載し、都市NOAを実現)。レイアウトは3列7座席で、一般的な2+2+3のミニバンと同じである。これでも、車長があるため、トランクにはかなりのスペースが残る。トランクの縦方向の長さは680mmで、3列シートは前方に折り畳んでスペースを広げるだけでなく、持ち上げて完全に収納することもでき、その際のトランクの奥行きの長さは1066mmにもなる。


《八杉理@現代文化研究所》

八杉理@現代文化研究所

八杉理|トヨタ自動車が全額出資する現代文化研究所・主任研究員。トヨタグループ各社をはじめ、日本の自動車業界のグローバルな事業戦略策定に参画。長く中国に居住し、各地の高度成長を肌で感じてきた。この経験から、現在でも現場主義に拘り、考察を続けている。また、クルマ好きで、世界の多様なモビリティを乗り歩く。著書に、『巨大化する中国自動車産業』日刊自動車新聞社、『東アジア地域協力の共同設計』ミネルヴァ書房等分担執筆のほか、業界団体や企業内でのセミナーも実施。専門業務分野は、中国・東アジアのモビリティ先端動向調査(CASE・MaaS、部品、炭素中立、SDGs)、ブランディング戦略、バリューチェーン事業化戦略、自動車ユーザー購買行動・イメージ・商品嗜好性分析、新興企業・競合企業の分析、これらに関する業界諸課題や市場参入へのアドバイザリー業務。

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