【トヨタ プリウス 新型試乗】だれもがカッコ悪いクルマには乗りたくないのだ…諸星陽一

吹っ切れたトヨタのカッコイイデザイン

初代『86』に匹敵する加速性能に感心

従来のプリウスとは異なるステージに移行した

トヨタ プリウス 新型(2.0リットルハイブリッド FF)
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  • トヨタ プリウス 新型
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◆吹っ切れたトヨタのカッコイイデザイン

5代目『プリウス』の最大の進化は、スタイリッシュなエクステリアを得たことにあるといえる。『クラウンクロオーバー』といい、このプリウスといい、トヨタは何か吹っ切れたようにスタリングの大変革を行っている。

四半世紀前に生まれた初代プリウスは、世界初となる量産ハイブリッドカーで「21世紀に間に合いました」というキャッチフレーズで登場した。システムこそ革新的であったが、そのスタイリングはといえば、なんとも野暮ったいノッチバックセダンであった。

プリウスはその後、5ドアハッチバックにスタイルを変更するが、実用路線から外れることはなく、燃費が一番でそのための空力特性を得るためのフォルム、そして営業車として使っても違和感のない、当たり障りのないスタイルが与えられた。

トヨタ プリウス 新型(2.0リットルハイブリッド FF)トヨタ プリウス 新型(2.0リットルハイブリッド FF)

しかしどうだ。新型プリウスはひとめで「カッコイイ」とか「スタイリッシュ」と感じるスタイルが与えられた。それが工業デザインとして正解なのか? 破綻がないものなのか? などは専門外であるが、かっこいいと感じさせるには十分に説得力がある。だれもがカッコ悪いクルマには乗りたくないのだから、かっこいいクルマを出すことは重要だ。

◆初代『86』に匹敵する加速性能に感心

2リットルFFモデルはじつに軽快でよく走る。フロントウインドウが寝かされた、かっこいいクルマはどうしても前方視界が悪くなりがちだが、プリウスはあまりそれを感じさせない。Aピラーに視界を遮られる部分も、少し顔を動かせば確認できるし、前方左右のコーナー部分はセンサーがあるので、非常に狭い道でもあまり気にならない。

しかし、後方視界、とくに左後ろについてはかなり視界が悪い。車線変更ならセンサーに頼れるが、右折時などの後方確認はしにくく、4ドア車でこれはないだろう、という印象である。

トヨタ プリウス 新型(2.0リットルハイブリッド FF)トヨタ プリウス 新型(2.0リットルハイブリッド FF)

動力特性はかなりパワフル。0-100km/h加速のカタログ値は7.5秒で、初代トヨタ『86』(2012年型)の0-100km/h加速にわずか0.1秒届かないレベル。86が特別速かったわけではないが、スポーツモデルに匹敵する加速性能を有することには感心させられる。

走行モードをスポーツにすると、回生ブレーキの効きも強くなりワンペダルに近いフィーリングでドライブできる。完全停止までは行わないが、かなりEV的なドライブが可能。ただし、バッテリーが満充電の状態では回生エネルギーを受け入れ切れないためか? ノイジーになる一面もあった。

足まわりもスポーティな味付けで、ワインディングを軽快に走ることができる。乗り心地も上々であり、高速道路をACCで走らせているときの安定感もよく、レーンキープ時の動きもしつけがいい。

トヨタ プリウス 新型(2.0リットルハイブリッド FF)トヨタ プリウス 新型(2.0リットルハイブリッド FF)

◆従来のプリウスとは異なるステージに移行した

ちょっとかっこよく、スタイリッシュになりすぎたことで、どこにでも乗っていけるクルマではなくなってしまったのが若干気になるところだが、ハイブリッドシステムが当たり前になった今、プリウスはハイブリッド車の象徴的な存在となり、もはやプリウスは従来のプリウスとは異なるステージに移行したモデルになったといえる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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