インプレッサはスバルの基本だ…東京オートサロン2023[開発責任者インタビュー]

SUBARU商品企画本部プロジェクトゼネラルマネジャーの毛塚紹一郎さん
  • SUBARU商品企画本部プロジェクトゼネラルマネジャーの毛塚紹一郎さん
  • スバル・インプレッサ新型(東京オートサロン2023)
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SUBARU(スバル)は東京オーオートサロン2023に、昨年11月のロサンゼルスオートショーでワールドプレミアした新型『インプレッサ』の日本仕様プロトタイプを公開。今春にも正式発表するという。そこで、今回の開発のポイントなどについて開発責任者に話を聞いた。

◆インプレッサからスポーツの名前を取ったわけ

---:国内のスバルのラインナップを見るとWRXがあり、クロストレックなどが投入され、これまでのインプレッサの立ち位置が変わりつつあるように思いますが、いかがでしょう。

SUBARU商品企画本部プロジェクトゼネラルマネジャーの毛塚紹一郎さん:インプレッサ自体は、スバルのスタンダードモデルですので、“基本”であることは変わっていません。

ただし、マーケット自体が大きく変わってきており、SUVがいまの世の中の主流になってきているのは事実です。そこで、お客様の志向としてこのクルマから購入検討をスタートするというよりも、そこはクロストレックかもしれません。それでも我々の考えとしては、このインプレッサが1番の基本のクルマだと思っており、そのスタンスは決して変わっていないのです。

---:インプレッサというと、スポーティなイメージが強く、これまではインプレッサスポーツという名称でした。しかし今回、インプレッサという名称に変更されたのですが、それはなぜですか。

毛塚:インプレッサはスポーティというだけではなく、実用性の部分も高く評価していただいています。ですので、以前はWRXだけでなく、ターボモデルもラインナップしていましたが、その時代から走りだけではなく、実用的であったり、安全面での評価もされていました。そういった面も含めて今回、インプレッサという名前でこのクルマの企画をしたのです。

---:そうしたうえで、SUV系ではクロストレックを、スポーツ系ではWRXを用意した。そしてインプレッサはインプレッサとしての立ち位置を明確にして、その部分を訴求していこうということなのですね。

毛塚:そうですね。“ユーテリティースポーティーカー”といっているのですが、やはり実用性は、スポーツという面とともに、もう1つ重要なところなのです。そこを際立たせる、強調する意味でもインプレッサという名称にしました。

◆クルマの基本性能を磨き上げて

---:さて、この6代目インプレッサを開発するにあたり、毛塚さんとして一番思いを込めたのはどういうところでしょう。

毛塚:このクルマは、シンプルなのでスバルとして1番大切なところを入れなくではいけないというところです。クロストレックはよりSUVらしく見せるなどの工夫を、デザインをはじめいろいろなところでやりましたけれど、このクルマはむしろシンプルに、安全面や、動的質感として快適で素直に走れるようなところはしっかりと作り込んでいます。ですから、クルマの基本性能の部分ではものすごく磨き上げていますし、私自身、重要にしたところでもあります。これらは基本性能ですので、同じような考えでクロストレックにも採用しています。

ただし、アイサイトXなどの利便性の部分に関しては、今回見送りました。つまり本当に素のクルマ、ベースの部分をきちんと作りましょうということで開発をしました。

---:アイサイトXを見送ったのはなぜですか。

毛塚:このクルマはスタンダードですので、ある程度お求めやすい価格が1つのポイントになります。ですので、まずは基本的な部分を充実させることに重きを置いて、その他の部分に関しては、他のクルマがきちんとその役割を担ってくれますので、それはそこでやってもらおうと考えました。

◆動的質感には手を入れて

---:インプレッサは6代続いており、基盤ユーザーも多くいます。その基盤ユーザーからの声はどういうものがありましたか。

毛塚:先ほどお話をしました実用性みたいなところですね。荷物も乗るし、きちんと走るようなところはお客様から評価してもらえています。ハッチバックというスタイリングの良さも、お客様の声として上がっていますね。SUVが主力になりつつありますが、SUVはトゥーマッチ、こういったクルマをお好みにならないお客様もいらっしゃいます。その中にはインプレッサのハッチバックが大好きというお客様がいらっしゃるのも事実です。

そういったお客様に向けて、素性を磨き上げました。5ドアである程度荷物も載せられて、それでもちゃんと低重心でしっかり走ることを求めるお客様には、満足いただける商品になっていると思います。

---:では先代と比較をして、ここは改良しなければいけないと思ったところはどこですか。

毛塚:先代のインプレッサやXVも同じなのですが、動的質感の部分は改良しています。スバルグローバルプラットフォームの進化もそうですし、2ピニオン電動ステアリング、シートですね。クロストレックで手を入れましたが、当然インプレッサも同じです。そういったところは力を入れた点ですね。

私の思いは、インプレッサとクロストレック、この2つのクルマで、外に出ていろんな体験していただきたい。その根本は一緒なんですね。そのフィールドがよりアウトドアに近いのがクロストレック。街中で身近なところにあるのがインプレッサなのです。基本的な進化の方向性、やるべき内容は共通なのです。

因みに会場に展示しているクルマはサンブレイズ・パールという新色です。これ以外の色の展開は今回お答えできないのですが、他にも少し鮮やかな色もラインナップしますので、外観からでも楽しそうなイメージ、生活が豊かになるというと大袈裟かもしれませんが、そういったところも配慮しています。

---:そうするとお客様としては迷いますね。

毛塚:迷っていただいて結構なんです。クロストレックでFFを追加していますけれど、いまは多様性の時代、お客様自身に、自分のライフスタイルに合わせてクルマを選んでいただければいいのかなと思うんです。我々としても、クロストレックがいいとか、インプレッサがいいとかではなく、お客様のライフスタイルに合わせて、どちらのクルマを選択してもらってもいいのかなと思っています。

我々はクロストレックで若いお客様もこれまで以上に取りましょうと開発しましたが、基本的にはインプレッサも同じなんですね。若い方々は、本当に自分に必要なものであればお金出して、価値として受け入れていただけますので、そういったお客様にはいろんな選択肢があることがいいという考えです。

もちろんクロストレックとインプレッサとでは、色々な部品を共通化して作っていますので、そこは我々の大変さもあるにはあるのですが、それ以上に色々な工夫でお客様のニーズに応えることの方が重要だと思っています。

---:最後にこのインプレッサで語っておきたいことがあればお願いします。

毛塚:クロストレックがSUVらしさ、逞しさを表現しているのに対して、インプレッサはシャープさ、スポーティーさみたいなところを出しています。ただ、綺麗な、流麗なスポーティーさではなくて、少しリアフェンダーのあたりにボリュームをつけた躍動感、アスリート的なところも持ち合わせています、そういった外観と、我々スバルがいま大切にしている動的質感、運転する楽しさや、快適に運転できるようなところ。そしてもう1つは安全の要素です。アイサイトのバージョンも、広角単眼カメラを付けた新世代アイサイトに進化していますので、そういったところがこのクルマのポイントです。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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