■理想汽車からレンジエクステンダー第二弾
中国の新興メーカーである理想汽車(英語表記:Li Auto)は、フラッグシップSUV『L9』を発表し、予約開始から3日間で3万台を超えたことをアナウンスした。
L9は3列シートを備えた6人乗りの大型SUVで、容量44.5kWhのCATL製NCM622*リチウムイオンバッテリーを搭載し、EVモードでの航続距離180km(WLTC)を達成。またレンジエクステンダーとして発電用の1.5リッター4気筒ターボエンジンを搭載しており、発電分を加えた航続距離は1100km(WLTC)にもおよぶ。
*NCM622:ニッケル・コバルト・マンガンを6:2:2で配合した三元系正極材
パワートレインは日産e-Powerに類似したシンプルなシリーズハイブリッドだ。エンジンは発電専用であり、ゆえにトランスミッションは搭載せず、常にモーターでタイヤを駆動する。
全長5218mm 全幅1998mm 全高1800mm ホイールベース3105mmと堂々たる体躯のフルサイズSUVで、理想汽車の第一号市販車『ONE』の実質的な後継車とみられるが、サイズは全長で20センチほど長くなっており、2回りほど大型化したことになる。
最大出力330kW、最大トルク620Nm、前後デュアルモーターの四輪駆動で、0-100km/h加速は5.3秒と、大柄な車体としては相当な俊足を誇る。
価格は45.98万元(約944万円)。決して安くはない価格だが、中国国内で競合するとみられる大型SUVのNIO『ES8』とはほぼ同価格帯ながら、ES8は発売から5年が経過しており、あるいはメルセデスベンツ『GLS』やBMW『X7』などのフルサイズSUVと比べると、およそ半額という見方もできるだろう。
納車は今年8月末までには始まる予定だ。
■今後はBEVも計画
理想汽車は、中国の数ある新興自動車メーカーの中でも、NIOや小鵬汽車(Xpeng)、哪吒汽車(NETA)らと並んで勝ち組と言えるほどの販売成績を収めてきたメーカーだが、ひとつ際立った特徴がある。2015年の会社設立以来、これまでたった一つのモデル『ONE』だけを売っているということだ。
このONEもL9と同じくレンジエクステンダーの大型SUVで、この一車種のみで昨年は9万台以上を販売しており、これは前述のライバルメーカーたちが複数のモデルで達成した販売台数とほとんど同じボリュームである。
このようにレンジエクステンダーのスペシャリストとして知られるようになった理想汽車だが、今後はバッテリーEVの開発計画についても言及しており、今後の動向が期待される。