公道走行テストには、ダイムラートラックが開発したメルセデスベンツの燃料電池トラック『GenH2トラック』のプロトタイプを使用する。GenH2トラックは、長距離輸送を想定した燃料電池トラックだ。
◆最大航続距離は1000km

ダイムラートラックが液体水素を使用するのは、気体水素よりも体積に関して、高いエネルギー密度を持つためだ。液体水素を使用する燃料電池トラックよりも、タンクを小型化でき、圧力が低下するため、大幅な軽量化が可能になる。これにより、トラックの積載スペースと積載重量が大きくなる。同時に、より多くの水素を搭載できるため、トラックの航続が大幅に伸びる。これにより、GenH2トラックは現行のディーゼルトラックに匹敵する長距離輸送が可能になるという。
ダイムラートラックは現在、液体水素を量産燃料電池トラックのエネルギー源として使用できるようにするため、必要なタンクシステムの技術開発を進めている。マイナス253度の低温での液体水素の貯蔵は、産業利用や水素ステーションなどの定置用途では、すでに実用化されている。
◆量産モデル用に設計した2つのステンレス製液体水素タンクを搭載

GenH2トラックの量産バージョンでは、燃料電池システムは150kW×2の300kWを供給し、バッテリーは一時的に400kWを追加できる。 バッテリーの蓄電容量は70kWh。プロトタイプでは、2つの電気モーターが合計で660kWの最大出力と、422kgmの最大トルクを発生する。
ダイムラートラックは、このGenH2トラックの公道走行テストの認可をドイツ当局から取得し、公道での走行テストを開始する。これにより、量産への過程において、重要なマイルストーンに到達したという。量産モデルのGenH2トラックは、2027年から顧客に引き渡される予定、としている。