VWの新世代EV「ID.」、初の無線ソフト更新…今夏から欧州で

まずは小型のハッチバックEVの『ID.3』が対象

12週間ごとにID.シリーズのソフトウェアを更新予定

将来はソフト更新を通じて機能やテクノロジーの後付けが可能に

フォルクスワーゲン「ID.」シリーズの無線ソフトウェアアップデートのイメージ
  • フォルクスワーゲン「ID.」シリーズの無線ソフトウェアアップデートのイメージ
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  • フォルクスワーゲン「ID.」シリーズの無線ソフトウェアアップデート
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  • フォルクスワーゲン ID.3
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フォルクスワーゲン(Volkswagen)は7月6日、新世代EVの「ID.」シリーズ初の無線ソフトウェアアップデートを、今夏から欧州で開始すると発表した。

まずは小型のハッチバックEVの『ID.3』が対象

フォルクスワーゲンは、ソフトウェア指向のモビリティプロバイダーを目指している。欧州で今夏から、ID.シリーズの顧客はソフトウェアアップデートを、Over-the-Air(OTA)で受けられる。フォルクスワーゲンがOTAを顧客に幅広く提供する最初の大量生産自動車メーカーになる、と自負する。

OTAが最初に行われるのは、小型のハッチバックEVの『ID.3』だ。ID.3では、バッテリーが他のコンポーネントとともに、車両のフロア下に効率よく搭載される。バッテリーの蓄電容量は45kWh、58kWh、77kWhの3種類のグレードを、順次設定する。新しい燃費基準のWLTPモードにおいて、およそ330~550kmの航続を可能にしている。

充電は、AC(交流)、三相交流、DC(直流)で充電できる。出力100kW の急速充電に対応しており、30分の充電でおよそ290kmの走行が可能なバッテリー容量を充電できる。

12週間ごとにID.シリーズのソフトウェアを更新予定

最新のソフトウェアバージョンの「ID.Software2.3」は7月中に、モバイルデータ転送を通じて、ID.3の「First Movers Club」の会員に配信される。このアップデートには、車両の操作、パフォーマンス、快適装備の調整と改善が含まれている。

フォルクスワーゲンはID.3に続いて、電動SUVの『ID.4』や、その高性能バージョンの『ID.4 GTX』にも、OTAを拡大展開する予定だ。将来的には、フォルクスワーゲンは12週間ごとに、ID.シリーズのソフトウェアを更新する予定。顧客は工場に行かなくても、車載コントロールユニットなどを更新できるようになるという。

ID.シリーズの最初のソフトウェアアップデートでは、多くの機能が改善される。拡張IDとして、ヘッドライトの機能や、先進運転支援システム(ADAS)の車両周囲認識性能の向上、メインビームのアクティブ制御、インフォテインメントシステムの操作性の改善、パフォーマンスと安定性の向上が行われる。

将来はソフト更新を通じて機能やテクノロジーの後付けが可能に

ソフトウェアの更新は、モバイルデータ転送を介して、ID.シリーズの車載高性能コンピューターに直接ダウンロードされる。最新のMEBプラットフォームをベースにしたEVの場合、従来は車両の多数のコントロールユニットに分散されていた機能が集約される。新しい電子機器アーキテクチャは、より強力でインテリジェントなだけでなく、車内のシステム間のデータと機能の交換も簡素化。これにより、無線アップデートを介して、最大35のコントロールユニットをアップデートすることが可能になったという。

ソフトウェアの無線アップデートにより、フォルクスワーゲンブランドは、「ACCELERATE」戦略で明らかにした新しいビジネスモデルの基盤を築いていく。将来的には、顧客は新車を購入する時、車両の機能を決定する必要がなくなる。どのカスタマイズが、より高いリセール価値を生み出すかを決定する必要もなくなる。これは、ハードウェアが大幅に標準化されるためだ。将来的には、ソフトウェアの更新を通じて、追加の機能や革新的なテクノロジーを後付けで追加することができるようになるという。

フォルクスワーゲン乗用車ブランドのラルフ・ブラントシュテッターCEOは、「12週間ごとに新しい機能とより優れた快適性を備えたデジタルカスタマーエクスペリエンスを提供する。これは、将来の接続されたデジタルモビリティに向けて、フォルクスワーゲンのACCELERATE戦略の重要なマイルストーンになる」と述べている。

《森脇稔》

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