ベントレー コンチネンタルGT3、再生可能燃料使用車で1位に…パイクスピーク2021

酸素不足の状態でもエンジンが充分なパワーを発揮できるバイオ燃料

混合燃料は温室効果ガスが最大85%削減される可能性も

悪コンディションによるコース短縮で新記録達成は不可能に

ベントレー・コンチネンタル GT3 パイクスピーク
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ベントレーは6月28日、米国で開催されたパイクスピーク国際ヒルクライムに参戦した『コンチネンタルGT3パイクスピーク』(Bentley Continental GT3 Pikes Peak)が、再生可能燃料使用車で1位となった、と発表した。参戦したすべてのEVの記録も上回った、としている。

酸素不足の状態でもエンジンが充分なパワーを発揮できるバイオ燃料

コンチネンタルGT3パイクスピークは、再生可能エネルギーのバイオ燃料で走行できるのが特徴だ。エンジンはベントレーの実績のあるレーシングパワーユニットで、『コンチネンタルGT V8』用の4.0リットルV型8気筒ガソリンターボエンジンをベースにしている。エンジンのチューニングとバイオ燃料の使用により、パイクスピークの標高が高く酸素が不足する状態でも、エンジンが充分なパワーを発揮できるという。

このエンジンは、さまざまなチューニングを受けており、最大出力750hp、最大トルク102kgmを引き出す。2.2バール以上のブースト圧に対応するために、新設計のピストンとコンロッドが採用された。カーボンファイバー製インテークマニホールドも装着された。マフラーはボディ側面に移設されており、排気管の短縮を可能にした。排気音はドラマチックなサウンドを生み出すという。

さらなる変更として、リアウィンドウの代わりに冷却用エアスクープが装着された。リアウィンドウのエアスクープは、トランクリッドのダクト奥のもうひとつのラジエーターに空気を送り込む。このシステムは、専用の水ポンプで作動する。リアのドライブシャフトの直径は、耐久性を高めるために拡大されている。

混合燃料は温室効果ガスが最大85%削減される可能性も

シャシーは、パイクスピークのコースの特性に合わせてセットアップされている。フロントアクスルとリアアクスルのキャンバーを大幅に減らし、コーナリング性能を高めている。ベントレーのレーシングカーとしては、最も柔らかいスプリングとスタビライザーが取り付けられており、ボディの動きを増やし、ブレーキ時の体重移動を最大化する。ブレーキは水冷式とし、高い負荷に対応している。

コンチネンタルGT3パイクスピークでは、ベントレー史上最大のリアウィングが装着された。エアロダイナミクスの変更により、ダウンフォースは30%増加した。トランスアクスルギアボックスの周囲には、効率的なリアディフューザーが付く。この後部のエアロダイナミックパッケージは、フロントの2プレーンスプリッターによってバランスが取られており、さらに別のダイブプレーンも車体側面に取り付けられた。ドライバーのリース・ミレン選手が、パイクスピークのコース上でセクタータイムを確認できるように、ステアリングホイールの隣のロールケージには、ストップウォッチが取り付けられている。

ベントレーの新しいプロジェクトでは現在、さまざまな混合燃料がテストされており、温室効果ガスが化石燃料よりも、最大85%削減される可能性があるという。ベントレーの顧客に持続可能な燃料を提供するという目標に先立ち、ベントレーが再生可能燃料で走る最初のレースが、パイクスピーク国際ヒルクライムとなった。

悪コンディションによるコース短縮で新記録達成は不可能に

パイクスピーク国際ヒルクライムは、米国コロラドスプリングスで1916年から開催されており、世界で最も有名なヒルクライムレースとして知られる。競技は全長20kmのコースを一気に駆け上がり、タイムを競う。標高はスタート地点が2800mで、ゴール地点が4300mだ。標高差1500m、コーナー数156。内燃機関で駆動する車両は、ゴール付近では標高の高さに起因する酸素不足により、海抜0mと比べてパワーが約30%ダウンする。

ベントレーは2019年のパイクスピーク国際ヒルクライムに、『コンチネンタルGT』で参戦した。リース・ミレン選手のドライブにより、10分18秒488のタイムで駆け上がり、パイクスピーク国際ヒルクライムの市販車部門の新記録を樹立している。その前年の2018年には、ベントレー『ベンテイガ』が、パイクスピーク国際ヒルクライムにおいて、最速のプロダクションSUV記録を達成した。

ベントレーは2021年のパイクスピーク国際ヒルクライムに、今度はレーシングカーのコンチネンタルGT3パイクスピークで参戦した。ベントレーは、パイクスピークでのトリプルクラウン(3勝)を完成させるために、新記録を目指していた。しかし、今年はゴール地点の山頂付近に雪と氷が残る悪コンディションのため、前年よりも約1割短い短縮されたコースで実施された。例年と同条件での開催とならなかったため、ベントレーのパイクスピークでの新記録達成は不可能となっていた。

それでも、コンチネンタルGT3パイクスピークは、再生可能燃料使用車で1位となった。また、参戦したすべてのEVの記録を上回ったという。さらに、コンチネンタルGT3パイクスピークは、タイムアタック1クラスで2位、総合4位の結果を残した。

ベントレーでモータースポーツ活動を統括するポール・ウィリアムズ氏は、「再生可能エネルギーのレーシングカーで参加したことを誇りに思う。これは、ベントレーの再生可能燃料導入の最初のステップであり、今後さらに多くの機会が訪れるだろう」と語っている。

《森脇稔》

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