【VW ゴルフ 新型試乗】中核モデルとは思えない完成度に驚いた…中谷明彦

VW ゴルフ eTSI Active
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パワートレインはダウンサイジングにより999cc

新型『ゴルフ eTSI Active』は、1リットル(999cc)の3気筒インタークーラー付ターボエンジンに、48V(ボルト)のマイルドハイブリッドシステムを搭載しパワートレインを構成しているモデルだ。

最大の特徴であるパワートレインだが、ダウンサイジングでついに1000ccを割ってきた小さなエンジンでありながらターボチャージャー、ベルトドライブのジェネレーターモーターで動力をアシストしていて、非常にドライバビリティーに優れた力不足を感じないエンジンに仕上げている。

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トランスミッションは7速DSGを搭載していて、制御も含めて完成度が高まっている。

最大出力は110psを5500回転で発生するのだが、実用的には十分なパワーだと言えるし、最大トルクは200Nmを1500回転という低回転から3500回転と幅広いレンジで引き出せているので、市街地や高速道路、山岳地域、ワインディングロードまで普通乗用車として全く不足のない動力性能を持っている。

燃費はWLTCモードで18.6km/リットルで、高速道路モードは20.6km/リットルという非常に優れた燃費性能を持っている。これは48Vのマイルドハイブリッドシステムのおかげでもあるが、新しくデザインされた車体のCd値が0.275と非常に小さな空気抵抗値なので、その効果も大きい。特に高速道路の燃費は空気抵抗が大きく影響してくるので、この“0.275”というCd値が効果的に作用している。

上級モデル並みの視認性と操作性

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試乗してみると、フロントサスペンションは「マクファーソンストラット」で、リアサスペンションは従来モデル同形式の「トーションビーム式」を採用している。トーションビームというと「コストダウンしたサスペンション」というコンパクトカーのサスペンションというイメージがあるが、一方でフランス車はトーションビームを採用しながら、猫足と言われるロールホールディングの良いサスペンションを完成させている。

今回の新型ゴルフも8世代目になり、リアのトーションビームも進化させられていて、フランス車に負けないロードホールディングを成し遂げている。

乗り心地を良くしながら車体のロールを抑えて安定した走行姿勢を山道でも保てるし、ステアリングのライントレース性、ハンドルを切った際に切った分だけ正確にトレースしていくドイツ車らしいところも兼ね備えていて、非常に走りやすい車になった。

全体の寸法を見ること、全幅が10mm狭くなり左右の見切り性が良く、道幅が狭いところでも扱いやすい車体デザインになっている。

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乗り込んでみると、上級モデルと同じように10.15インチのメーターパネルと10インチのセンターディスプレイ、インフォテンツ機能が備わっており、視認性と操作性が非常に優れている。

エアコン機能等にはモーションキャプチャー式のスイッチが備わっているが、若干扱い方に慣れる必要があると感じた。一本指で操作する時と二本指で操作する時で機能が分かれてる仕様は、一度覚えてしまえば扱いやすいが、操作を知らないで乗ると少々戸惑ってしまうだろう。

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ホイールベースは短縮したが、足元スペースはむしろ広い!?

今回、デジタル系の進化が一つのセールスポイントになっており、例えばトランスミッションのシフトレバーをほとんどスイッチのような小さなものに変えて誤作動をなくし、電気式のスイッチユニットとすることで操作性を上げ、コンソール回りの空間も広がった。

室内空間全体も広くなり、見ため的にもすっきりしたインパネデザインとなり、さらに誤作動も抑えることができたということが今回の新型の特徴になっている。

後席は、ホイールベースが短くなっているのだが、足元スペースはむしろ広がっているかのような感覚を受ける。ヘッドクリアランスもゆとりがあり、シートの背もたれの角度も適切なレイアウトがされていて居心地のいい後席となっている。

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トランクルームにはスペアタイヤが装備されている。近年スペアタイヤレスの車が多い中、スペアタイヤを乗せている事によってランフラットタイヤをやめて通常のタイヤで乗り心地を良くするというメリットがある。

中核モデルとは思えないほどの完成度

新型ゴルフは、ドライブアシストが新型『ティグアン』に採用されたストップアンドゴー機能付きで、210km/hまでアシスト可能な最新のものが標準で備わっていて、高速道路においては有効な装備だと言える。他にもパーキングアシスト機能も備えられている。

価格はベーシックな「eTSI Active Basic」で291万6000円、今回の「eTSI Active」が312万5000円と抑えられていて、パッケージオプションとしていくつか付いてはいるが、セールスポイントとなるような部分については多くが標準で装着されているというものになる。

「eTSI Active」は標準的なグレードだが、シリーズ全体の中で中核モデルとは思えないほどの完成度を示していた。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

中谷明彦|レース&テストドライバー/自動車関連コンサルタント
大学在学中よりレーサー/モータージャーナリストとして活動。1988年全日本F3選手権覇者となるなど国内外で活躍。1997年よりドライビング理論研究会「中谷塾」を開設、2009年より東京大学と自動車新技術の共同研究に取組む。自動車関連の開発、イベント運営など様々な分野でのコンサルタントも行っている。

《中谷明彦》

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