ポルシェ 911 新型に初のレーサー、プロトタイプの写真 12月12日正式発表

世界で最も成功を収めているレーシングカー

新型の開発は2018年の半ばに開始

新型はサーキットでのラップタイムなどあらゆる性能を向上

ポルシェ 911 GT3 カップ 新型のプロトタイプ
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ポルシェは12月7日、新型『911 GT3カップ』(Porsche 911 GT3 Cup)のプロトタイプの写真を公開した。新型『911』シリーズ(タイプ992)をベースにした最初のレーシングカーとなる。

世界で最も成功を収めているレーシングカー

ポルシェ911 GT3カップは、世界で最も成功を収めているレーシングカーだ。プロダクションカーに近いカスタマー向け競技車両として、1990年の前身以来、ポルシェはこのワンメイクカップレーサーを累計4251台製造してきた。ドイツ・ツフェンハウゼンの911シリーズの組み立てラインからは、「991.1」世代の911 GT3カップが673台、2017年に発売された「991.2」世代の911 GT3カップが737台、ラインオフしている。

911 GT3カップの現行型は、2012年12月に発表された。市販車の『911 GT3』をベースにした競技車両だ。現行911 GT3カップは、「ポルシェ Mobil 1 スーパーカップ」の2013年シーズンから使用されている。

現行ポルシェ911 GT3カップには、先代モデルを10ps上回る最大出力460ps/7500rpmを発生する3.8リットル水平対向6気筒ガソリン自然吸気エンジンを搭載している。開発はポルシェのモータースポーツ部門が担当し、ポルシェのカップカーとして初めて、ステアリングホイールにパドルシフトを装備した。この6速ドグタイプのギアボックスが、パワーを後輪に伝える。

センターロック式ワンピースホイールもポルシェのモータースポーツ部門によって見直され、ミシュランのスリックタイヤは、前輪がプラス20mmの270mm、後輪がプラス10mmの310mmにそれぞれワイド化された。

新開発のブレーキシステムは、先代モデルよりさらに耐久性が向上。フロントには、380mm径のスチール製スリットベンチレーテッドブレーキローターとアルミ製の6ピストンキャリパーが奢られ、リアには4ピストンキャリパーが装着されている。

現行モデルの開発では、ドライバーの安全性も重視された。新設計のロールケージが横転や衝突時にドライバーを保護。頭と肩の周囲が大幅に改善された新開発のバケットシートは、パッドで個別に調節することができる。ルーフには、初動の救急行為やドライバー救出に貢献するレスキューハッチが設けられた。

新型の開発は2018年の半ばに開始

新型911 GT3カップの開発は、2018年の半ばに開始された。新型レーシングカーがどのように見え、何ができるか、何を改善し、カスタマーチームから何を期待されているか。エンジニアやメカニック、ドライバーやチーム関係者の意見に耳を傾け、現行モデルの課題を洗い出した。

大量の情報を収集することにより、新しいグローバルモデルの開発に適切な優先順位つけられるようになった。これは、耐久レースやクラブスポーツイベントなどでのレーシングカーの走行にも当てはまるという。

その後、2019年の半ばに、新型911 GT3カップの「TC01」(テストカー01)が組み上げられた。ポルシェのモータースポーツセンターでボディと部品が出来上がった後、プロジェクトチームはわずか10日間の記録的な速さでTC01を完成させた。これは、2018年に設立されたプロジェクトチームの能力を示すものだという。

TC01は、ドイツ・ヴァイサッハで最初のテストを行った後、ヨーロッパツアーに乗り出した。ドイツのラウジッツリンクに続いて、イタリアのモンツァなどの高速サーキットで、テストが行われた。さまざまな特性を持つサーキットで、できるだけ多くのデータを得るのが目的だ。

新型はサーキットでのラップタイムなどあらゆる性能を向上

2020年半ばには、サーキットを数千キロ走行したTC01に後継車が加わった。これは、新型911シリーズの組み立て工場のツフェンハウゼンからラインオフした最初の試作車だ。このテストカーの主な任務は、ドイツ・ニュルブルクリンクのグランプリサーキットを含めて、ロングランを完了することだった。

パフォーマンスに関しては、新型911 GT3カップは大きな飛躍を遂げているという。サーキットでのラップタイムをはじめ、エンジンやサスペンション、エアロダイナミクスやブレーキ、電子機器や人間工学に至るまで、すべての分野で性能を引き上げているという。

なお、ポルシェは新型911 GT3カップの技術面などの詳細を、12月12日に発表する予定。ポルシェMobil 1スーパーカップや「カレラカップ」の2021年シーズンに、実戦投入される計画だ。

《森脇稔》

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